ニュース&トピックス 2年次選択科目「生命科学と社会Ⅶ(サイエンスコミュニケーション)」を実施しました

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2024.02.17

生命科学部では、2年次選択科目として「生命科学と社会Ⅶ(サイエンスコミュニケーション)」という授業を実施しています。

サイエンスコミュニケーションとは

サイエンスコミュニケーションは、科学のおもしろさや科学技術をめぐる課題を人々へ伝え、共に考え、意識を高めることを目指した活動です。

科学的内容や研究成果を人々に伝え、またその研究内容が解決できる課題や社会に及ぼす影響を考え、理解を深めることで、より良い未来の創造を目指すものです。

私たちは、日々科学の恩恵を受けていますが、同時に負の影響を正しく認識し向き合っていく必要があります。そのためには、科学の内容や研究成果をわかりやすく正確に伝えることだけでなく、科学に触れ対話する場を創造していかなければなりません。また、その際に必要なスキルは、科学を伝えることに限らず、社会人として求められる一般的な能力としても役に立ちます。

本科目では、サイエンスコミュニケーションの理論、実践について学び理解することを目的としています。そのうえで、取材、情報収集、文章や動画の作成、プレゼンテーションといった情報伝達に用いられる基本的なスキルを習得し、実践を行います。

 

今年度実施された本科目では、受講者は全9班に分かれ、グループ学習に取り組みました。授業の一環として日本科学未来館やサイエンスアゴラをはじめとしたさまざまなサイエンスコミュニケーションの場に触れ、また興味を持ったサイエンスについての調査研究を行いました。

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科目を通じて得られた経験や学び・気づきを基に、班ごとにテーマを決め、リサーチを行い、その内容から熟考を重ねストーリーを仕立てました。本授業の総まとめとして、最終授業日となる2024年1月11日(木)、学生たちによる最終成果報告(劇形式の発表会)が行われました。発表では「未来の医療技術」「ロボットとの付き合い方」「新たなエネルギー問題」「ジーンドライブ」「原子力発電」など、多岐にわたるテーマを基にした劇の上演、テーマ解説、および科学技術の展望と問題提起が行われました。会場参加者への問いかけもあり、それぞれのテーマに対して各々の考えを深める機会となりました。

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発表後には会場参加者からの投票および学内審査員からの講評がありました。いずれのグループも高評価を得、僅差ながらも会場賞・教員賞・最優秀賞の班が決まり、それぞれの表彰が行われました。

最優秀賞

最優秀賞

班名:リンPリソース

テーマ:新たなエネルギー問題

タイトル:「俺らのゆりかごが無くなるって、まっ!?」

内容:ワカメを使用した発電に関する技術を日々研究するマリン博士は、ある日、ワカメ発電を主要電力にしうる素晴らしい発明をした。その結果、二酸化炭素の排出を大幅に削減することに成功した。博士の友人でワカメ農家の漁太は、この技術に賛同し、資源であるワカメを使うことに協力した。しかし、ワカメの生産が追いつかず、自然のワカメにまで手を出し始めたマリン博士。ワカメを拠り所にするラッコや魚たちは行き場をなくし、ピンチに…!!果たして、漁太はマリン博士の暴走を止めることができるのか?そしてマリン博士の技術は本当にこの先使い続けてもよいのだろうか?

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「リンPリソース」班からのコメント

「私たちの班は、ワカメを使ったバイオ発電をテーマに劇を作成しました。この劇では、ある問題を解決しようとすると、新たな問題が発生してしまう可能性があるという状況で生じる葛藤を、観客のみなさんはどう乗り越えるか、ワカメ発電を例に考えてもらうことを目指しました。ワカメ発電は現在実用化には至っていないため、今後起こるかも知れない未来として伝えやすいことから、このテーマに決めました。

劇を作成する上で、科学技術に対する葛藤をどう分かりやすく伝えることができるかという点において、テーマ決めに時間が掛かりましたが、チームメンバーの譲れない点を擦り合わせた結果、納得のいく劇を作ることができました。まさか最優秀賞をいただけるとは思っていませんでしたが、一生懸命取り組んだ結果として、このような賞をいただけて大変光栄です。チームメンバーやこの授業を担当してくださった古澤先生に心から感謝を申し上げます。」

教員賞/会場賞

教員賞

班名:TOYAKU140

テーマ:原子力発電

タイトル:「原子力発電、どうするの??」

会場賞

班名:エマ・ワトソン

テーマ:ジーンドライブ

タイトル:「進撃の蚊」

 

科目担当者:古澤 輝由 先生(サイエンスコミュニケーター)からのコメント

「本科目「生命科学と社会Ⅶ(サイエンスコミュニケーション)」では、毎年サイエンスコミュニケーションに関わる何かしらのアウトプットを作成します。一昨年はライティング、昨年は動画で東京薬科大学の研究を通じて表現しました。そして今年は「劇」。一つのテーマを伝えるためのストーリーを練り上げていく中で、一体誰がその課題に関わるのか、そしてその人は何を思い、どのように行動するのかを考えることになります。7回という限られたコンパクトな授業回数にも関わらず、どのストーリーも力作でした。次年度も同様にストーリーの上演を予定しています。」

本件に関するお問い合わせ

東京薬科大学 広報課