平野 友唯

薬学部 医療衛生薬学科 6年(取材当時)

茨城県立水戸第一高等学校出身

より良い医療制度の実現を目指して|私の学修成果

6年間の学修成果

  • 問題発見解決能力
  • 計画性
  • 厚労科研への参加
  • 生涯学習・研究への意欲

公務員への道を示してくれた益山先生

高校生の頃、薬で病気が治せることに興味を持ったことが薬学部を志望したきっかけです。将来研究に取り組むことを考え、研究室が多く、研究の選択肢も多い東薬を選びました。漠然と薬剤師として働くんだろうなと思っていた1年生の私に、アドバイザーの益山光一先生が県庁の公務員を勧めてくれたことで、将来の可能性が広がりました。3年生で受けた益山先生の授業「薬事関連法規と制度Ⅰ」で、日本と欧米諸国の新薬の承認スピードに差があることに衝撃を受け、必要な医薬品をより早く患者さんに届けたいという思いが強くなりました。コロナ禍でもあったので、ニュースでたびたび耳にした厚生労働省に関心を持ち、卒論教室には、医薬品の承認に関わる国の機関や制度について学べる益山先生の「薬事関係法規研究室」を選びました。「何事もチャレンジしてみなくちゃ面白くないでしょう」と肩を押してくれる益山先生と厚生労働省の薬系技官に内定していた研究室の先輩の勧めもあって、いち早く薬を届けるために国家規模のスケールで制度面から関わることができる国家公務員、薬系技官を目指すことを決意しました。

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薬剤師のフォローアップ業務の有効性を明らかにした卒論研究

卒論研究では、薬局薬剤師の服薬フォローアップ業務の有効性について研究しました。服薬フォローアップ業務とは、薬剤師が薬を処方した方に服薬状況を確認して、必要なアドバイスを行うことです。2019年の法改正に伴ってフォローアップ業務が義務化されましたが、これまで有効性を数値で評価した研究は行われていませんでした。そこで私は、坐薬を処方された小児の保護者の方と薬局に協力していただいて、フォローアップ業務の有効性に関するアンケート調査を実施しました。調査では、はじめて統計解析ソフトを使って分析を行い、新しいスキルも身につきました。解析の結果、フォローアップ業務により不安が解消した保護者は全体の約70%に達し、有効性を明らかにすることができました。研究結果は、益山先生たちが取り組まれていた厚生労働科学研究のデータに採用され、学生ながら全国的な指針のベースとなる研究に貢献できたことは大きな自信に繋がっています。

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地域医療のイノベーション実現に関するプロジェクトで得られた達成感

5年生の10月から6年生の5月にかけて、北海道の地域医療の課題を解決するプロジェクトに参加しました。北海道では、特有の気候から生じる課題に加え、薬剤師をはじめ医療従事者の深刻な人材不足に直面しています。住民の健康を守り、医療関係者のニーズにも応えるにはどうしたらよいのか。道庁職員や薬剤師、医師など関係者の方から伺った話をもとに、7人の仲間と2か月近くかけて議論し、モバイルファーマシーの活用や薬局の入れ替え担当制度を提案しました。私たちの発表に、現場の方から同様の取り組みを準備中であることを伺ったときには胸がいっぱいになったことを覚えています。学生の立場から現実的な提案をできた達成感があったからです。今回のプロジェクトで、より良い制度の実現には住民、医療関係者、企業、行政など様々な方にメリットが仕組みづくりが必要であることを実感するとともに、制度設計の難しさと行政の目線を体験する貴重な機会になりました。

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よりよい社会を実現する薬系技官を目指して

将来は、内定した厚生労働省の薬系技官として、制度作りの面から国民と患者さんの健康に貢献したいと考えています。なかでも入省後に取り組みたいテーマの1つが薬価です。新薬の薬価の算定原案は厚生労働省が作成するからです。革新的な医薬品が生まれたときに、どのような価値を付けたらさらに医薬品のイノベーションが進むのか。ドラッグラグに直面する患者さんと家族の方に必要な医薬品を届けるためにも、新薬の評価と薬価の算定が重要だと感じています。もう1つは薬剤師の職能拡大です。卒論研究でフォローアップ業務の効果を示せたことから、今後の社会や医療に必要な薬剤師の職能について検討や改善を進めたいと考えるようになりました。授業や卒論研究、課題解決プロジェクトなどで現在と将来の日本が抱える課題について様々な視点から学べたことが、私の可能性を広げ、進路を決めるきっかけになりました。東薬で学んだことを生かして、より良い社会の実現に貢献していきたいと考えています。

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