研究活動研究者が語る 東薬の先端研究 尿酸代謝を多角的に研究

市田 公美 教授

薬学部 医療薬学科 病態生理学教室

痛風・高尿酸血症の発症要因を遺伝子レベルで探究

痛風患者は増加しており、現在、100万人を超えているといわれている。痛風発症の原因となる高尿酸血症は痛風患者の約10倍で、成人男性の5人に一人となっている。近年、痛風・高尿酸血症の原因となる遺伝子が多く同定され、発症の機序が明らかになりつつある。

尿酸トランスポーターABCG2の同定

我々は、元々抗癌剤の耐性などに関与し癌領域で研究が行われていたトランスポーター、ABCG2が尿酸を輸送し、体外への尿酸の排泄に重要な役割を担い、ABCG2の機能低下が高尿酸血症の大きな原因の一つであることを2009年に明らかにした。さらに、ABCG2の研究を通じて、尿酸の排泄経路として、腎臓以外にも消化管が重要であることを明らかにした。

ABCG2のさらなる役割の追求

最近、共同研究者により、代表的な尿毒症物質であるインドキシル硫酸をABCG2が輸送することが明らかになった。現在、我々は痛風・高尿酸血症以外にABCG2が生体において、どのように働き、疾患と関連しているのかを研究している。

低尿酸血症を通して生体内の尿酸の意義を考える

尿酸は難溶性のため、蓄積すると痛風や尿路結石の原因となる。一方、尿酸は活性酸素のスカベンジャーとして働き、生体の防御にも働いていることが指摘されている。低尿酸血症は、尿酸への代謝の異常や尿酸輸送の異常により、血清尿酸値が著しく低下した状態である。この低尿酸血症の解析を通じて、生体内での尿酸の働きについても明らかにしようと研究を行っている。