スタッフブログ 三宅先生直伝! 薬用植物園見どころマップ(後編)

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2023.08.21

東薬薬用植物園の魅力について場所ごとに紹介する「見どころマップ」後編です!
前編・後編ともに見れば、植物園の印象が変わるかも…?
ぜひご覧ください!

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土地の特徴

東薬植物園はただの山奥にある植物園でしょうか…?
いえいえ、実はとても恵まれた環境の、考え抜かれた場所に所在しています。日当たりの良い土地が広がっているのはもちろん、この場所は南向き斜面と北向き斜面に挟まれています。間には小さな川が流れており、川の周辺には日陰で涼しく湿度の高い場所もあります。水資源の豊かな日野市の特徴が最大限生かされていますね!

そのため、それぞれの環境に適した植物を育てることができ、結果的にたくさんの種類の植物が管理できるのです。
それでも日陰で育つための環境が足りない場合や展示場所を工夫したい場合には、日陰を人工的に作るなどして、様々な種類の植物を保っているそうです。

様々な種類が並ぶホップエリアでは、インタビューの記事にも出てきたホップを実際に見比べて楽しむことができます!
また、栽培が許可されている種類のケシなども見ることができます。

④メイン通り

ここでは見本園から温室に向かう途中にある植物について紹介します。
この場所も、植物に適した環境を作るための工夫がたくさん!
ロックガーデンは水捌けのよい栽培ができる場所で、そのような環境を好む植物が植えられています。

近くにはコンクリートで部屋のように区切られて、たくさんの植物が植えられている場所があります。これは少ない敷地面積の中で様々な植物を混ざらないように植えるための工夫です。

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~ここでクイズ!~

Q.写真にあるイヌサフランとギョウジャニンニク、2つの植物にはどんな関係性があるでしょうか?

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A.答えは「食べられる植物」と「毒になる植物」です。

見た目が似ている2つですが、ギョウジャニンニクだと思ってイヌサフランを食べてしまい、その毒によって死亡者が出るという事件が起きています。そこで、2つを並べて展示してあるのです。
ギョウジャニンニクは葉を揉むとニンニク独特の香りが手につきます。
また、よく見るとイヌサフランの方にだけ屋根がついています。イヌサフランとギョウジャニンニクの生態が違うことがよくわかりますね。
つまり、「日陰で湿度の高い場所」で「ギョウジャニンニクのような植物」を見つけた場合、果たしてそれは本当に食べていいものなのでしょうか?――イヌサフランの可能性も高いです。要注意ですね。

また、イヌサフランの「イヌ」には「偽物の」という意味があります。
では本物のサフランは…?隣に植えてあり、これも一緒に見ることができます。ぜひ見つけてみてください!

【特徴的な植物たち】

刺のある植物、イラクサ。
見た目は痛そうには見えませんが、触ると 小さな刺が手に刺さって本当に痛く、痛みが持続するそうです。(気軽に触らないようご注意ください。)
痛いだけの植物ではなく、ミヤマイラクサは山菜として食べられてもいます。

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ハエトリソウやサラセニアといった食虫植物の実物も見ることができます。

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今年植えられたばかりという大黄。水はけのいい場所で栽培されています!

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⑤テラス

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テラスには、普段私たちが食べている植物や、アロマオイルとして使える植物など、身近なものが並んでいます。
ニラやニンニク、マイナーな食べ物ではエルダーなどが綺麗に整理されています。
匂いを嗅いでみることがオススメされる植物には写真のような札がついており、手で葉をこするなどして香りを嗅いでみるととても楽しいです!

温室

植物がところ狭しと植えられていて、迫力も見どころも満点の温室。 温室にもテラスと同じく、触って匂いを嗅ぐことができる札のついた植物がいくつかあります。レモンバーベナという植物は香りが強めで堪能できるため、ぜひ試してみてください!
三宅教授へのインタビュー記事に登場した珍しい植物のヤボランジや、本物に見えるような再現度合いのラフレシアを見ることができます。
シナモンとして有名なケイヒや、味の変えられる植物として有名なミラクルフルーツも…!

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温室の外にはマキが置いてあります。東薬生が勉強していく中で、植物の使用部位として習う「木部」や「樹皮」といった、なかなかイメージのつきにくい部位を実際にマキとして見るとこができ、勉強する際に役に立つようになっています。

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【東薬版】痛い植物ミニ図鑑!

zukan-1.png①イラクサ
まずはこの記事でも紹介したイラクサです。ぜひ見つけてみてほしいですが、触るのは控えましょう。

zukan-3.png②ホップ
インタビューでも話題になったホップ。カラハナソウという日本由来のホップと、ホップカナディアンレッドヴァインという西洋由来のホップがありますが、どちらも茎に刺があります。感触の違いを試してみても楽しいですね!

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zukan-4.png③イエローピタヤ
温室を進んでいくとイエローピタヤが待ち構えています。見た目はあまり痛くない刺に見えますが、触ってみると予想より痛くて驚きました。

zukan-5.png④ハッカクキリン
ハッカクキリンは温室をぐるっと一周回ると、最後に鉢にちょこんと植えられているサボテンの仲間です。痛そうな見た目の通り、ただ痛いだけでなく樹液には毒もあります。尋常ではないレベルの辛みがある植物として有名です。

zukan-6.png⑤カルドン
食用にされることもあるカルドン。同じく食用になるアンティチョークという植物の隣に植えられています!

最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。
植物園の知らない一面を知ることはできたでしょうか?
この記事で紹介できているのは植物園の一部にすぎません。
山の中を登っていくと植物について知れるだけでなく、自然に囲まれた癒しの時間を体験することもできます!
学ぶ目的としても、日々の疲れから解放される異空間を味わう目的としても、ぜひ植物園に足を運んでみてください!

~おまけ~
記事の筆者イチオシの植物、ウスバサイシンです。
実習の授業で生薬の香りを嗅いだ際に、惹かれて好きになりました。
植物園に行った際には自分のお気に入り植物を見つけてはいかがでしょうか…?!

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