ニュース&トピックス レポート|薬学部 一般用医薬品学教室の陳教授に研究について伺いました

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2024.03.18

―一般用医薬品学について教えてください。

一般用医薬品は、OTC医薬品または大衆薬とも呼ばれ、消費者は医師の処方箋なしで薬局などで購入できます。一般用医薬品の利用では、薬剤師は患者の症状を基に、医師の受診が必要か否かを確認し、そのうえで患者一人ひとりにあった医薬品の選択について助言します。一般用医薬品は処方箋が必要ない医薬品であり「安全な薬」というイメージがあるかもしれません。実際は副作用が発生する場合がありますし、患者の基礎疾患(患っている病気)によっては避けるべき薬もあります。特に日本の一般用医薬品は、製品が含有する成分数が、海外の製品に比べて多いため、慎重に医薬品を選択することが重要です。
一般用医薬品学は、このように安心安全に医薬品を利用するために必要な知識やコミュニケーションなどを学ぶ学問です。

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―陳先生と一般用医薬品学との出会いを教えてください。

私が東京薬科大学の学生の頃、日本には一般用医薬品学の講義がまだ存在していませんでした。本学を卒業後、カリフォルニア大学(米国)に留学した際、初めて一般用医薬品について学ぶ機会がありました。一般用医薬品学では講義は行われず、毎週違う疾患の一般用医薬品に関する論文を複数配布され、学生は論文を読み、毎週試験を受け、薬剤師と共にグループでディスカッションをする、そんな勉強を1年間繰り返し学びました。
学生の立場としては、講義もなく試験を受け、論文の内容も論文間で違うものもあり、フラストレーションが溜まった記憶があります。しかし、こうした「自ら」論文を読み、白黒はっきりしない内容を調べ、「自分なり」に咀嚼(そしゃく)して勉強する方法こそが社会で必要なスキルであると、卒業後に臨床現場で実感しました。

―現在の研究と研究にかける思いを教えてください。

医師が処方する医療用の医薬品は記録されますが、一般用医薬品には、薬局や医療機関で症状や有効性、安全性を記録するシステムが存在しません。そこで、現在、私たちは一般用医薬品の安心安全を推進するために、一般用医薬品使用を記録する患者用アプリを開発し有効性と安全性のデータ創出を目指しています。また、既に米国で公開されている膨大な一般用医薬品の副作用報告データを、無料で使えるPython と呼ばれるプログラム言語を用いてAI解析を行い、安全性に関する研究も行っています。このような薬局DXを用いて、安心安全な医療の構築を目指したいと考えています。

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―今後の抱負を教えてください。

今後、薬剤師の業務は、医薬品という「モノ」だけでなく、患者と医療従事者間の「ヒト」としての関わりが重要になると厚生労働省は述べています。そのためには、患者がアプリなどを用いて医療に参加し、薬剤師など医療従事者は、患者情報を解析して一人ひとりの患者にフィードバック、助言することが現実的に可能になります。一般用医薬品学を通して、そうした医薬品「情報」を介した、新しい「医療DX」と「ヒト」の関わりで、患者中心の医療が行われる時代に資するような教育と研究に携わっていきたいと思っています。

―受験生へのメッセージをお願いします。

一般用医薬品学は、日常生活で触れる薬に関する学問です。本学で患者中心の医療を目指し、共に学び、研究しましょう。皆様の入学をお待ちしております。

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本件に関するお問い合わせ

東京薬科大学 広報課