学部・大学院紹介 薬学部長/研究科長からのメッセージ

医療を担う薬学人の育成を目指して 

薬学では、工学や医学などと同様に、自然科学の成果を実社会で応用する実学を重視します。実学の特徴は、実社会の問題点に対して実証的に解決策を示すことで、諸活動を通して社会への貢献が期待できます。ワクチンのない感染症に対するワクチン開発、治療薬のない疾患に対する創薬などが具体例として挙げられ、薬の研究、開発、製造、管理、規制、適正使用などのあらゆる場面で、薬学部の卒業生(薬学人)は活躍しています。

本学薬学部は、2006年に6年制の薬学教育が始まるにあたって学部のミッションについて議論し、1学年の定員420名全員を、薬剤師国家試験の受験資格が得られる6年制の教育課程とすることに決めました。2017年からは「医療を担う薬学人に相応しい充分な知識と技術、及び人類の福祉に貢献できる豊かな人間性と広い視野を持つ人材の育成」を目的として活動しています。この目的の達成のために、私たちがこれから新たに行うことを紹介します。

hakamada_S0A7945_900x600.jpg薬学部長 袴田 秀樹

2024年度の入学生からは、これまでの3学科(医療薬学科、医療薬物薬学科、医療衛生薬学科)と男女別学を廃し、定員は変えずに薬学科のみとし、選択科目や自由科目を活用するコース/プログラム選択制を導入します。本学では、全大学で共通して取り組むべき「コア」の部分(薬学教育モデル・コアカリキュラム)は、全員が履修する必修科目として学修します。一方、希望する学生には、一部は3学科の特色を含む多様なプログラムを用意し、上乗せの学習(トッピング構造)が可能な、本学独自のカリキュラムを提供します。上記の「広い視野」を養うことができ、一定の基準を満たした学生には、コース認定を行います。

「医療を担う薬学人」としての教育と研究を充実させる目的で、臨床医療薬学センター(仮称)を組織します。先ずは学部生を対象とし、姉妹校の東京医科大学医学部(医学科・看護学科)との多職種連携教育の推進、5年次の実務実習の充実、臨床研究の支援などを介して、臨床実践能力と研究能力のある薬剤師を育成します。将来的には、卒後教育の促進や、他機関と共同して臨床研究を進める際のハブとして機能することも期待されています。

従来通り、各研究室やセンターの行う研究活動には力を入れて行きます。コース/プログラム選択制の一つとして、低学年から研究室に所属できる教育システム(未来薬学創造研究コース)を構築し、学部生の研究活動を応援します。本コースは、ファーマシスト・サイエンティストの育成を意図しています。

以上のような薬学部の諸活動は、学部の教員と学生だけでできるものではなく、学内の職員の皆様、地域の関係者の皆様、実務実習先の薬局、病院の指導薬剤師、スタッフの皆様、卒業生の皆様、学生の保証人の皆様などのご支援によって成り立っており、心から感謝申し上げます。2024年から、薬学部が大きく変わります。今後とも、変わらぬご支援、ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

薬学部長 / 薬学研究科長 袴田 秀樹