ニュース&トピックス 薬学部 横須賀先生が「アンチ・ドーピングについて考える」というテーマで1年生のゼミナールを実施しました。

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2021.02.08

2020年11月から全5回に渡り、1年生に「アンチ・ドーピングについて考える」というテーマでゼミナールを実施しました。学生達は少人数のグループで「違反事例の調査」、「市販薬に含まれる禁止物質の検索」、「効果的なアウトリーチの提案」等について調査・討論しプロダクトを発表しました。
ロシア選手団の今後2年間の主要な国際大会への参加が禁止になるなど、ドーピングが注目される中、講義を担当し、自身も公認スポーツファーマシストである薬学部 漢方資源応用学教室 准教授 横須賀章人先生にインタビューを行いました。

 

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―現在の研究について教えてください。

漢方薬、漢方系生薬、民間伝承薬、ハーブ、芳香精油などの天然物由来の医薬品や素材に着目し、悪性腫瘍(がん)や生活習慣病に有効な天然物成分の探索、化粧品素材として有用な天然物成分の探索を中心に研究を進めています。これまでに、様々な植物や生薬から、100種類を優に超える新規化合物(世界で初めて発見された化合物)を発見し、それらの医薬品シーズとしての有効性を評価してきました。最近では、主に観賞用として用いられるキンポウゲ科植物から、腫瘍細胞に対して強力な細胞増殖抑制活性を示す新規ステロイド系化合物を見出しました。

―公認スポーツファーマシストってどのような資格ですか?

2009年(公財)日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が主体となり、公認スポーツファーマシスト認定制度が設置されました。この制度は、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有する薬剤師を研修し認定するための制度で、私は2011年に資格を取得しました。現在(公財)日本ラグビーフットボール協会のアンチ・ドーピング委員会に所属し、アンチ・ドーピングを推進する活動に10年以上携わっています。

―具体的にはどういう活動を行っていますか?

大学や社会人のチームに向けてのアンチ・ドーピング研修会の講師の担当や、選手からの医薬品等の使用に関する問い合わせへの対応のほか、中学校や高等学校の全国大会の会場にブースを設営してパンフレットの配布などの啓蒙活動等を実施しています。また、検査当日のドーピング検査室に同席し、JADAから派遣された検査員と競技主催者との間でスムーズに検査ができるように調整し、検査される選手の権利が守られているか、検査が適正に実施されているかを確認します。

―漢方の研究とアンチ・ドーピング活動は、どのようにリンクしていますか?

漢方薬は、植物、動物、鉱物などを基原とする生薬が配合されています。生薬は、主成分以外のすべての成分が明らかになっているわけではありません。また、生薬のなかには、禁止物質であるエフェドリンやヒゲナミンなどを含有するものがあります。したがって、漢方薬は、アンチ・ドーピングの立場からは使用を注意すべき薬とされています。薬剤師国家試験にも漢方薬や生薬の成分とアンチ・ドーピングに関する問題が出題されていますので、漢方・生薬系の講義の際には、アンチ・ドーピングやスポーツファーマシストについて紹介しています。

―今後の活動における抱負について教えてください?

私は、学生時代にラグビー部に所属していたこともあり、公認スポーツファーマシストとしての活動を行う機会に恵まれました。そこで得た経験を活かし、「アンチ・ドーピングについて考える」というテーマで1年生のゼミナールを担当しています。1年生は、まだ薬について多くを学んでいませんが、様々な角度からアンチ・ドーピングに関する内容を調査・討論・発表することにより、スポーツファーマシストという薬剤師の新しい職能を理解することができたと思います。今後、薬学を深く学んでいく上でのモチベーションの向上の一助となることを期待しています。私は薬学部の教員として、今後も自分の特質を活かした教育・研究に精勤していく所存です。

本件に関するお問い合わせ

東京薬科大学 広報課