ニュース&トピックス ニキビ(痤瘡)と心理的ストレスとの関連性を科学的に証明 〜ストレスマーカーとしてのニキビ病巣部毛包内ノルメタネフリンの同定〜|プレスリリース
- 薬学部
- 研究活動
- SDGs
2021.06.02
プレスリリース
ニキビ(痤瘡)と心理的ストレスとの関連性を科学的に証明 〜ストレスマーカーとしてのニキビ病巣部毛包内ノルメタネフリンの同定〜
- ポイント
-
- ニキビの重症度に関わらず、ニキビ患者は不安感を抱いている。
- 不安度が高いニキビ患者ほど、病巣部の毛包内にカテコールアミン代謝物のノルメタネフリンが多い。
- ストレス応答機構の視床下部-交感神経-副腎髄質軸(SAM軸)の活性化がノルメタネフリン量の増加に関連する。
研究の概要
ニキビ(痤瘡)は、男女を問わず、思春期頃から発症する皮膚疾患です。ニキビの原因として男性ホルモン依存的な皮脂産生の増加が知られていますが、思春期または思春期を過ぎてもニキビを発症する患者においてストレスを悪化因子の一つとして挙げる人も多いです。事実、仕事や学業、人間関係などによる心理的ストレスはニキビの悪化と相関し、逆にニキビは患者の不安や抑うつ感を引き起こし、QOLを低下させます。しかし、ニキビ患者の病態と心理的ストレスとの関連性について科学的根拠が乏しいのも事実です。
東京薬科大学薬学部生化学教室の佐藤 隆教授らは、虎の門病院皮膚科・部長の林 伸和医師との共同研究により、調査した全てのニキビ患者が重症度に関わらず不安感を抱いていることを明らかにしました。そして、その不安度が高い患者ほどストレス応答機構の視床下部-交感神経-副腎髄質軸(SAM軸)が活性化していることを見出しました。また、ニキビ病巣部の毛包内にはアドレナリンとノルアドレナリンおよびそれぞれの代謝産物であるメタネフリンとノルメタネフリンが存在することを初めて確認しました。中でもノルメタネフリン量は不安度の高い患者において有意に高値であり、SAM軸の活性化と正の相関性を示すことを明らかにしました。
我々のグループは、重症度に関わらずニキビ患者は不安感を抱いており、SAM軸の活性化に連動して病巣部毛包内で増加するノルメタネフリンが心理的ストレスマーカーになるという新知見を発見しました。本研究成果は、ニキビ治療におけるストレス対策の必要性を示唆するとともに、ノルメタネフリンに着目したストレス性ニキビの診断法や治療法の開発に貢献するものと期待されます。
発表雑誌
- 雑誌名
- Journal of Dermatology
- 論文名
- An increase in normetanephrine in hair follicles of acne lesions through the sympatho-adrenal medullary system in acne patients with anxiety
- 著者
- Mizuno K, Sakaue H, Kohsaka K, Takeda H, Hayashi N, and Sato T.
- 掲載日
- 2021 年 5 月 7 日 Online ahead of print, Doi: 10.1111/1346-8138.15935.
関連リンク
【取材に関するお問い合わせ先】
- 東京薬科大学 総務部 広報課
-
- 042-676-6711(8:45~17:00 月~金、祝日は除く)
- お問い合わせフォーム
【研究に関するお問い合わせ先】
- 東京薬科大学 薬学部 生化学教室 教授 佐藤 隆
-
- 042-676-5706
- satotak@toyaku.ac.jp