学部紹介 実験と理論を取り入れた研究に向けて

バイオインフォマティックス技術者認定試験 合格

名前
目澤 義弘 さん
所属
生命科学部3年(取材当時)
出身
神奈川県立横浜緑ヶ丘高校

生命科学の分野は実験系の研究が今でも主流であり、その主な技術は1970年頃から次々に開発された遺伝子工学によるものです。私は過去の優れた技術を学んだ上に、今の時代だからこそ使える技術を積極的に取り入れながら、生命、とくに動物に広く共通して観察される現象を研究しようと考えています。その今の時代だからこそ使える技術とは、ピペットマンを使うような実験だけではなく、コンピュータを用いた理論的な解析も含んでいます。

そうした中で、バイオインフォマティクスという学問を知り、生物学と情報学など広く扱うこの分野に精通すれば、まさにウェットな実験とドライな手法を利用した良い研究ができそうだと思いました。そして、まずはバイオインフォマティクス技術者認定試験を受験することで、この分野を俯瞰することにしました。この試験は、広く浅く知識を問うものであり、私の目的には最適でした。

対策勉強は、過去問、大学の講義とネット上の無料講義、補足に参考書を用いて行いました。3年前期のバイオ情報科学の講義では、論理演算、配列解析、系統解析を学ぶことができ、ネット上の無料講義では統計、確率からデータベースやオミックス解析についてなどの頻出事項を易しく学べました。そして過去問を3、4年分解き、解説や参考書で不明点をよく復習すれば、出題範囲として公開されているキーワード集のほとんどをカバーできます。

こうした勉強の中で気付いた事は、類似性を定量的に表現することの大切さです。それは、似ているけど、どれくらい似ているかはっきり数字で示しましょうということです。この取り組みは、例えば、統計の有意差検定、これを配列の類似性検索に応用したBLASTのビットスコアや、マイクロアレイで得られた発現パターンの解析や分子系統樹を作製するためのクラスタリング解析などで見られます。さらに、バイオインフォマティクスではそれらを元にデータベースを作製します。まさに、類似性を定量的に扱う事がこの分野の特徴の一つであると考えられます。

そして、類似性や相違点を定量的に表現する事は、実験結果の発表において、比較の明確な根拠として非常に重要です。また、これは研究に限らず説得力を持たせて何かを説明する時には常に大切なことです。今回この資格勉強で学んだ事は多岐にわたりますが、実験、解析技術、表現方法に関して、定量的という共通点がありました。今後はこの側面を重要視しながら知識を広げ、研究に望んでいきたいです。

参考書

  • 『バイオインフォマティクス』 A.ポランスキ、M.キンメル著(丸善出版)
  • 『東京大学バイオインフォマティクス集中講義』 高木利久(羊土社)
  • 『よくわかる統計学Ⅰ基礎編』 金子浩平、上藤一郎(ミネルヴァ書房)
  • 『栢木先生の基本情報技術者教室』 栢木厚(技術評論社)