学科紹介 ヒト人工染色体

ヒト人工染色体(HAC)は"生命のオペレーションシステム"です(図1、図2参照)。

  • ヒト染色体の安定維持・分配に必要なセントロメアやテロメアという配列のみを含むよう操作・改変されたミニ染色体です。
  • 従来の遺伝子工学技術(~105塩基対が対象)では扱いが難しかった106~107塩基対の巨大なDNA断片("アプリ")が搭載可能であり、またヒト細胞やマウス個体で安定に保持されます。
  • この技術を用いて作製されたマウスをトランスクロモソミック(TC)マウスと呼びます。
  • HACを含む染色体を操作したり、細胞に導入する技術を『染色体工学』と呼びます。
  • 遺伝子工学がバイオ医薬品や遺伝子組み換え作物など、様々な形で産業利用されたように、染色体工学も再生医療やバイオ医薬品創出における利用が期待されています。
  • 染色体とは:遺伝情報を担うDNAと蛋白質からなる構造体で、特定の色素で染め出されることが名前の由来です。多数の遺伝子が染色体上に配列していることから、『遺伝子の集合体』という意味でも使われます。ヒトは46本、マウスは40本、チンパンジーは48本の染色体を持っています。

図1

図2