学科紹介 プランクトン

“プランクトン”というと「水中の微小な生物」と思うかもしれない。正解は「水中に浮遊している生物」のこと。大きさには関係ない。自力ではあまり大きくは移動できない生物のことなので、大きなクラゲも“プランクトン”の一つ。1mくらいの大きさでも“プランクトン”なのである(メガプランクトン)。では、小さい方は、細胞1個の小さな生物となるが、小さい方に向かってミクロプランクトン、ナノプランクトン、ピコプランクトン(ウルトラプランクトン)という言葉が使われる。「ナノプランクトン」というので、ナノメートル(nm)サイズかと思いきや、0.02〜0.002 mm即ち20〜2μm程度の生物(細胞)が「ナノプランクトン」である。そもそもμの1000分の1にあたる1nmの細胞は、筆者の知る限りない(ITで調べる限り、もっとも小さな細菌であるクラミジアが0.3あるいは0.5μm程度とのこと)。ましていわんや、1pm(ピコメートル、nmの1000分の1)サイズの生物(細胞)を見つけたら、大発見となろう。

微小な細胞も鞭毛や繊毛を持つものがあるし、多細胞のオキアミだって一生懸命(?)に泳いでいる。「浮遊」するといっても、人の目で見ていて、大きく移動することはないような生物群である。生態用語であることに注意が必要なところであろう。

光合成をする植物プランクトン(珪藻、鞭毛藻などの浮遊性微細藻類やシアノバクテリア)や、原生動物、多細胞生物であるクラゲや甲殻類(ミジンコやオキアミなど)、さらに大型水生動物の幼生(魚の稚仔魚など)などの動物プランクトンなどである。浮遊性の海洋細菌なども含まれる。

このように“プランクトン“という言葉には、水界生態系の世界が見えてくるが、では、生態学における言葉として質問。泳ぐ魚は?・・・ネクトン。海底に沈んで生活する生物は?・・・ベントスという。

左からオキアミ(http://ja.wikipedia.org/wiki/オキアミ別ウィンドウで開きますより)、緑藻クラミドモナス、円石藻プレウロクリシス、
クリオネとミジンコ(イラスト:平成23年度卒業生 金子 浩子さん)