学科紹介 メタゲノム

環境中には多種多様な微生物が生存している。どのような微生物がいるのかを調べるには、従来は、まず環境中から微生物を取り出し(単離し)、試験管の中で培養して、その性質を調べていた。しかしこの方法では、環境中の微生物のほんの一握り(一説には、環境中の多様な微生物のうちの0.1%以下)の培養できる微生物しか研究できなかった。

培養を行わずに環境中の微生物のゲノムDNAをすべて抽出・収集し、これらの塩基配列を網羅的に読んでいけば、遺伝子配列からどのような微生物が生息し、またどのような機能(遺伝子)があるかを知ることができる。このような手法をメタゲノム解析と呼び、その研究分野はメタゲノミクス(metagenomics)と言われている。メタゲノミクスが可能になったのは、近年開発が進む高速DNA解読装置による。今後、膨大な遺伝子情報が環境中の微生物から集められ、その中から環境中に眠る未知の微生物機能が発掘されてくることが期待される。さらに、その中から今後の産業に役立つ遺伝子が見つかってくることも期待されている。