学科紹介 酵素

酵素は様々な物質を改質する触媒的な機能を有するタンパク質です。改質される物質を基質と呼び、酵素と結合して異なる物質に変換されます。一方、酵素には反応の前後で変化が起こりません。酵素が結合できる基質は限られており、鍵(酵素)と鍵穴(基質)のように厳密な関係で、基質特異性といいます。酵素反応は、温度やpH、基質濃度などによって反応速度が異なり、最もいろいろな条件を変えることにより反応を制御することができます。

酵素は様々な産業分野に活用されており、食品分野においても古くから利用されています。例えば、醤油や味噌などの製造には微生物が産生するタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が働き、醸造発酵が進みます。また、乳タンパク質をキモシンと呼ばれるプロテアーゼで分解することでタンパク質の凝集が起こりチーズ製造に用いられています。また、アミラーゼ類は糖質分解を触媒しますが、砂糖や製パンに利用されています。これらの酵素は、基質を分解する反応が主ですが、基質同士を架橋して、高分子化する酵素(トランスグルタミナーゼ)も様々な食品に応用されています。酵素は特異性が高く、環境にも優しい加工技術として今後も期待の高い研究開発分野です。