学科紹介 耐熱菌、好熱菌、高度好熱菌、超好熱菌

様々な環境に対して適応している微生物(細菌、古細菌)に対していくつかの呼び方が行われる。たとえば、ある環境を好んで生育する微生物の場合“好”という字を用いる。この微生物の場合には通常の条件ではむしろ生育できない。たとえば、好熱菌、好圧菌、好塩菌、好冷菌などである。他方、通常の条件下で良く生育できるが、極限環境下でも生育できると言う微生物の場合には“耐”という字が用いられる。耐圧菌、耐塩菌、放射線耐性菌などである。こういった微生物の場合には通常の条件でも生育できる。ただし、低温には微生物の大部分が耐性であり、また耐熱の微生物はいないので、耐冷菌、耐熱菌と言う用語は使われない。

さらに、好熱菌と好冷菌、好塩菌の場合にはその程度に応じてさらに細かい分類が行われる。多くの微生物の生育は30から40度程度で最も早い。それより低い温度の環境でも多くの微生物は生育可能であるが、その生育速度は著しく低下する。30度以下の低温でむしろ最も早く生育する微生物は単に低温菌、20度以下でのみ生育する微生物は好冷菌と呼ばれている。反対に多くの常温性の微生物は50度を超えると生育できない。これよりも高温で生育する微生物が好熱菌と呼ばれている。好熱菌の中でも50度以上でも生育できるがそれ以下でも生育可能な微生物を中等度好熱菌、50度以上でしか生育できない微生物を高度好熱菌と呼ぶ。さらに80℃以上の高温で生育できる微生物を超好熱菌と呼んでいる。同様に、好塩菌の中でも1.5Mの食塩を要求する微生物を高度好塩菌と呼んでいる。