ニュース&トピックス 第4回生命科学セミナーが開催されました。

  • 生命科学部
  • その他

2018.08.24

第4回 生命科学セミナーを開催いたします。
多くの皆様の参加をお待ちしています。

日時 9月12日(水)17時〜
場所 研究3号棟12階 セミナー室 G

演題1 「新規電極培養法の開発と未知微生物の単離」

演者 上岡 永佳さん(生命エネルギー工学研究室 D3)

近年、微生物と外界の電気化学的相互作用が注目を集めている。我々は菌が有機物を酸化分解して電流生成を行う微生物燃料電池や、微生物が電極から電気エネルギーを受け取って増殖する微生物電気合成に着目している。しかし現状ではそれらの効率は十分とは言えず、実用化はまだ遠いと言われている。この一因は関与する電気活性微生物(EAB)に関する基礎的な知見が不足していることにあると考えている。そこで、本研究では、EABの単離に特化した電極プレート培養(EPC)法の開発、およびそれを用いた未知微生物の単離・解析を目的とする。EPCは培地プレート上に電極を設置し、電極を電子受容体または電子供与体としてコロニーを形成させる手法である。この研究により、外界と電気化学的相互作用する微生物の多様性や生態に関する基盤情報が拡充されることが期待される。本セミナーでは、電極を電子受容体としたEPC(EA-EPC)の確立、および田んぼ発電システムからのEABの単離、解析について報告する。

演題2 「血管炎症および動脈硬化に対するNeopterinの抑制作用」

演者 白井 玲美奈さん(心血管医科学研究室 D3)

背景・目的

Neopterinは動脈硬化病変に発現していると報告されてきたが、本病変形成との因果関係は明らかでない。故に本研究では、Neopterinの血管炎症および動脈硬化に対する作用を検討した。

結果

冠動脈疾患患者では冠動脈病変および血漿中のNeopterin発現レベルは非冠動脈疾患患者に比べ増加していた。Neopterinは、ヒト大動脈内皮細胞における増殖、TNF-α誘導性の炎症・接着因子の発現および単球接着を有意に抑制した。Neopterinは、ヒト単球由来マクロファージにおける酸化LDLによる泡沫化を有意に抑制し、ヒト大動脈平滑筋細胞の遊走・増殖を有意に抑制した。高コレステロール食を負荷したApoe欠損マウスにNeopterinを投与したところ、動脈硬化進展を有意に抑制できた。

結論

以上から、Neopterinは血管炎症および動脈硬化を抑制するとともに、プラークの進展を阻止するために反応性に発現が増えていたと推察された。故に、Neopterinは動脈硬化の新たな治療標的として有益であると示唆された。