ニュース&トピックス 第5回生命科学セミナーが開催されました。

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2018.10.31

第5回 生命科学セミナーをご案内いたします。
今回は理化学研究所の吉田 稔先生に御講演をお願いしています。
多くの皆様の参加をお待ちしています。

第5回生命科学セミナー

日時 10月31日(水)17時〜
場所 4301講義室
演題 天然活性物質の作用機序研究から見えてきたもの
演者 吉田 稔
理化学研究所 / 環境資源科学研究センター / ケミカルゲノミクス研究グループ・グループディレクター / 東京大学大学院農学生命科学研究科・教授

要旨

自然界に生息する微生物・植物・動物が生産する天然の生理活性物質は、自然が人類に与えてくれた貴重な宝物であると言えます。その複雑で美しい構造は有機合成化学者を、その特異的な作用機序は生命科学者を、そしてその優れた薬効は医学者の心を捉えてきました。演者は微生物の生産する各種生理活性物質の分子レベルでの作用機序に魅せられて長年格闘してきました。その結果、幸運にもいくつかの化合物について、これまで知られていなかった標的に遭遇しました。例えば、初めての特異的なヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤であることがわかったトリコスタチンAは、エピジェネティクス研究の興隆を先導し、標的分子が当時機能不明のCRM1だったレプトマイシンBは、タンパク質核外輸送研究を切り開きました。また、スプライソスタチンAはスプライシングと翻訳制御のつながりを解明するための貴重なツールとなりました。これらの標的分子はいずれも新しい創薬標的として注目されるに至っています。本セミナーでは、生理活性物質の作用機序解明の方法論から実際の解析例、さらには標的分子の生物学上の重要性について解説したいと思います。