ニュース&トピックス 「高校生物発展講座−高校教員(理科)対象−」全6回 終了しました。
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2018.12.03
2018年 第1回 高校生物発展講座 6/29(金)18:30~ 千代田キャンパス
演題 | 「光合成電子伝達系−その機能と進化」 |
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学科 | 応用生命科学科 |
演者 | 佐藤 典裕准教授(環境応用植物学研究室) |
前半は、光合成生物の進化の過程をたどりながら、種々の光合成色素や光化学系の集光系の進化について解説がなされました。後半は、チラコイド膜での光エネルギーの移動と電子の移動、そしてそれに伴いチラコイド膜内腔やストロマでどの様な反応が起こっているのか詳細な説明がなされました。
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光合成生物の色 - 光化学系のアンテナ複合体で決まる
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光の受容から電子伝達へ
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①光のエネルギー移動(光化学系複合体) アンテナ複合体→反応中心複合体→反応中心
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②電子の移動(H2O→NADP+) H+濃度勾配形成、NADPH生成
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2018年 第2回 高校生物発展講座 7/27(金)18:30~19:50 千代田キャンパス
演題 | 「逆遺伝学による遺伝子の機能解析の実際」 |
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学科 | 生命医科学科 |
演者 | 中村 由和准教授(ゲノム病態医科学研究室) |
講義では、細胞への遺伝子導入の方法(リポフェクション法、電気穿孔法、ウィルスベクターによる遺伝子導入)やノックアウトマウスの作製法について解説がなされました。また、最先端のゲノム編集技術であるCRISPR-Cas9の仕組みが説明され、ゲノム編集技術の歴史や今後の可能性、そして倫理的な課題について解説がなされました。
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哺乳動物の培養細胞への遺伝子の導入方法について
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RNAiによる遺伝子発現抑制法について
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マウス固体における遺伝子導入、遺伝子破壊法について
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CRISPR-Cas9によるゲノム編集法について
2018年 第3回 高校生物発展講座 9/28(金)18:30~19:50 八王子市学園都市センター(東急スクエア12F)
演題 | 「ヒトゲノムとその情報の利用」 |
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学科 | 生命医科学科 |
演者 | 田中 弘文教授(細胞制御医科学研究室) |
ヒトゲノムの構成やタンパク質をコードしていないRNAの機能やトランスポゾンの概略について解説がなされました。また、現在解明されつつある個人のゲノムの違いと形質や病気や薬の効き目等の違いとの関係などについて基礎的な講義が行われました。分子標的薬(セツキシマブ、ゲフィチニブ等)などオーダーメイド医療の現状と未来についても解説されました。
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ゲノム
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遺伝子多型
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病気と遺伝子
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オーダーメイド医療
今回、初めて八王子会場での実施となりました。
2018年 第4回 高校生物発展講座 10/26(金)18:30~19:50 八王子市学園都市センター(東急スクエア12F)
演題 | 「モデル生物を用いた認知・脳科学研究への挑戦」 |
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学科 | 分子生命科学科 |
演者 | 森本 高子准教授(分子神経科学研究室) |
神経系の働き方について研究の歴史から講義が始められ、現在の脳科学研究の状況から未来の心を読み解く研究の可能性まで解説されました。
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脳科学研究とは?現状と未来
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ショウジョウバエと神経生物学
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質問の時間:今日の講義や高校での講義について
後半は、モデル生物を用いた認知・脳科学研究の事例として、精神疾患のモデルハエを用いた研究が紹介されました。脳科学研究の飛躍的な発展には、共焦点顕微鏡や2光子顕微鏡による観測技術の進歩や先日亡くなられた下村脩さん(2008年ノーベル化学賞)がオワンクラゲから発見した緑色蛍光たんぱく質GFPなどの功績が大きいことが共有されて講義が閉じられました。
2018年 第5回 高校生物発展講座 11/30(金)18:30~19:50 八王子市学園都市センター(東急スクエア12F)
演題 | 「組換え植物の研究での利用の現状と問題点」 |
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学科 | 応用生命科学科 |
演者 | 野口 航(応用生態学研究室) |
はじめに、遺伝子組換え植物について、高校「生物」の教科書に「作製方法」と「応用例」がどのように記載されているか確認されました。そして、「研究ではどのように遺伝子組換え植物を作製し、利用しているのか?」「遺伝子組換え植物の応用例の現状は?」「新しい技術はどんなものか?」「安全面や環境への影響について」など、講義内容を概観してから解説が始められました。
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自己紹介
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高等学校の教科書での記載例
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モデル植物などでの遺伝子組換え実験
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研究での遺伝子組換え植物の利用例
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組換え植物の応用例
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安全性や環境への影響について
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植物における新育種技術(NPBT)
モデル植物のシロイヌナズナを例に遺伝子組換え実験の基本を解説後、様々な遺伝子導入方法から隔離圃場での遺伝子組換えイネの栽培の現状、そして新育種技術(NPBT)による品種改良まで、安全性や環境への影響を含めて講義が行われました。
2018年 第6回 高校生物発展講座 12/21(金)18:30~19:50 八王子市学園都市センター(東急スクエア12F)
演題 | 「自然免疫細胞による“非自己”と“危険な自己”の認識」 |
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学科 | 生命医科学科 |
演者 | 田中 正人教授(免疫制御学研究室) |
免疫学は「免疫系に与えられたミッションが分かりやすいためストーリーのある説明がしやすい」「病気と関係が深くイメージしやすい」ことから、生物学の中でも比較的教えやすい分野であることが確認されてから講義が始められました。
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免疫システムと免疫制御異常による疾患
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自然免疫
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①“自然免疫”はなぜ、非自己に対して素早く反応できるのか?
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②マクロファージは侵入した非自己(外敵)以外のものも貪食するのか?
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獲得免疫
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①細胞性免疫(T細胞受容体の遺伝子再構成と多様性、T細胞の種類と役割 等)
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②体液性免疫(B細胞、抗体の多様性 等)
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講義の最後には、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶 佑博士の研究について、T細胞によるがん細胞への攻撃を阻害する要因(特にPD-1)を中心に解説されました。
2019年度の「高校生物発展講座」は、秋に千代田キャンパスで(飯田橋駅 徒歩5分)で実施予定です。日時や内容等の詳細が決定次第ホームページで御案内させて頂きます。