ニュース&トピックス レポート|生命科学部 細胞防御医科学研究室の丸山教授に細胞防御医科学について伺いました
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2024.03.25
―細胞防御について教えてください。
近年、免疫システムの解明が進み、体を構成するほとんどすべての細胞が免疫細胞のように、異常な細胞を認識して攻撃するシステムがあることがわかってきました。例えば、私たちの体の皮膚、口腔、食道、胃、腸などを覆っている「上皮細胞」は外部と接していることから、程度に差はありますが様々な異常が生じやすい環境にさらされています。また、がんの8割が上皮細胞に由来することからも、上皮細胞における異常は、生体としては早急に対処するべき問題です。私は、この上皮細胞が「がんの種となる細胞」(前がん細胞)を認識して攻撃する機能があることを哺乳類で初めて解明しました。この機能に付けた名称が「細胞防御」です。

―丸山先生と細胞防御医科学との出会いについて教えてください。
私は学生時代からがんの治療法を見つけるために研究を続けてきました。最初は天然物の合成に興味を持ち、抗がん剤の開発を目指しました。その後、分子細胞生物学の世界に飛び込み、ストレス応答性MAPキナーゼ「ASK1」についての研究に取り組んだのです。大学院を卒業した後、私はより広い視野で生物を探求するためにMITの研究所で免疫系に関連する研究を行い、がんとは直接関係ないような分野も積極的に学びました。それは、幅広い知識と技術を身につけ、がん撲滅に貢献したいという情熱が私を動かし続けているからです。現在は、上皮細胞などの非免疫細胞が持つ免疫細胞に類似した機能について研究しています。
―現在の研究と研究室名に込めた思いを教えてください。
免疫細胞ではない上皮細胞が、前がん細胞や細菌・ウイルスに感染した異常な細胞を早期に認識して私たちの体から排除する細胞防御。この機構には、がんをはじめとしたさまざまな疾患の発症を予防する可能性があると考えています。私たちの研究室では、この細胞防御機構の解明を通して、発症前で疾患になる寸前の状態(疾患の未病状態)を対象とした、疾患にならないための薬や疾患の未病状態を診断・予測する方法を確立したいと考えています。

―今後の抱負を教えてください。
細胞防御は、がん、感染症、神経変性疾患など様々な疾患、再生医療などのバイオテクノロジー開発、さらには化粧品、健康食品への応用が期待できる分野です。この生命現象をコントロールすることのできる薬やバイオテクノロジーを通じて、社会をより豊かにすることができればと思っています。
―受験生へのメッセージをお願いします。
今だけでなく、未来を見据えて、人々の生活に貢献できる研究を一緒にやりましょう。

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