ニュース&トピックス 第2回「シミュレーション教育を担う教員に対するFD」を実施しました。

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2023.03.23

2023年3月1日(水)、薬学部のシミュレーション教育を担う教員向けにFaculty DevelopmentFD) 研修の第2弾を実施しました。

シミュレータを用いると不整脈薬物治療の理解がここまで変わる!

昨年10月に開催した第1回FD研修会『バイタルサインの生理学的解釈法』に続き、第2回『頻脈性不整脈の薬物治療』研修会を開催しました。講師として、循環器領域の薬剤師としてご高名な梶原洋文先生(大分三愛メディカルセンター薬剤部)にご協力いただきました。この研修会には、本学の臨床薬学系教員と薬局薬剤師、病院薬剤師の先生方、合計11名が参加しました。

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※本研修会は、2022年度東京薬科大学教育改革推進事業「高度な臨床能力を獲得するシミュレーション教育開発事業」、文部科学省「ウィズコロナ時代の新たな医療に対応できる医療人材養成事業(令和3年度補正)」の一環として実施しています。

研修内容:リアルタイムに不整脈とその治療効果をシミュレータに反映させる

「動く」心電図から読み解く頻脈性不整脈

今回は、頻脈性不整脈を取り上げ、リアルタイムに変化する心電図を読み解き、効果的な薬物治療を行うために、チーム医療において薬剤師が介入するポイント等について理解を深めることを目的としました。

【研修プログラム】

  • 症例0:徐脈性不整脈を評価する
  • 症例1:頻脈性不整脈でなぜ循環不全を生じるのか?
  • 症例2:レートコントロール薬の使い分け
  • 症例3:リズムコントロール薬の使い分け

※シミュレータとは、バイタルサインの生理学的解釈に関する実習などで用いられる人形型のデジタル装置

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治療による「変化」を実感できる教育が理解を深める ~Sicilian Gambitの見方が変わる~

医療者であれば誰もが知っているSicilian Gambit※ですが、臨床で活用するのは簡単ではありません。今回実施したプログラムでは、受講者はモニターに映し出される心電図を見ながら「正常」な心臓の生理を確認した後、リアルタイムに変化する不規則な心電図波形とバイタルサインを評価して心臓の「異常」を解釈しました。そして、そのとき抗不整脈薬の投与によって期待される治療効果を、心電図波形の変化から読み取るために議論を交わしました。この心電図波形の「変化」を実感して理解することが、Sicilian Gambitの見方や解釈に新たな気づきを与えてくれます。こうしたシミュレータを用いて「変化を実感する」学習の効果が、臨床現場で活かされ、また、本学の実習教育に反映されていくことを期待しています。

※Sicilian Gambitとは、ヨーロッパ心臓病学会の不整脈分科会のメンバーを中心としたグループよって提唱された抗不整脈薬の薬理作用を一覧表にしたもの。この一覧表に基づいた病理生理学的アプローチによって、それぞれの患者に適した的確な薬物選択を可能にする。

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学んだ知識を教育現場で生かす ~教育教材用のケース作成~

研修で体得したことを教育に反映させるには、様々な教材やシミュレータを活用する技術・ノウハウが必要となります。そこで、数多くある抗不整脈薬を幅広く学べるコンテンツの開発を目標に、今回の研修で用いたものと同じような教育資材(模擬症例)を作成し、シミュレータを用いて実際に試してみました。その完成度、満足度は如何なものだったでしょうか。

この後も本学は、「シミュレータを活用した臨床薬学教育」に積極的に取り組み、病院や薬局の薬剤師をはじめとする様々な医療職種の先生方とともに、その発展に努める所存です。

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FD研修講師
大分三愛メディカルセンター 薬剤部 梶原洋文 先生

  • 「従来ですと不整脈に関する講習は、紙ベースで実施してきましたが、シミュレータを活用してモニターにより実施できたことは、受講生の満足度も高かったのではないかと思います。学校教育での学びは、医療現場につながっています。これから薬剤師を目指す学生は、いろいろな学習機会が実臨床につながっていることを意識して日々の学習に励むんでください。」

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    インタビュー動画

    FD研修会講師

    大分三愛メディカルセンター 薬剤部 梶原洋文 先生

取材に関するお問い合わせ

東京薬科大学 総務部 広報課