ニュース&トピックス レポート|薬学部 創剤科学教室の石原教授に創剤への思いを伺いました

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2024.02.28

―石原先生が講義を担当されている「製剤設計学」について教えてください。

「製剤化」は、薬効を有する物質(有効成分)を医薬品として服用し易くする技術です。有効成分の性質や、製剤が使用される状況に応じて、処方や容器を設計します。例えば、経口製剤では、通常の錠剤に加え、口腔内崩壊錠やゼリー製剤などの様々な剤形が開発されています。また、有効成分の吸収性や安定性における課題を改善するために、新たな製剤化技術や医薬品添加物の研究が進められています。製剤設計学では、剤形の種類と目的、製造方法について学びます。また、日本薬局方に記載されている剤形の分類や、性能を確認・保証するための試験法について解説します。これらの知識は、将来、薬剤師として医薬品を取り扱う上でも、創薬に関わる職種を志望する場合においても、非常に重要です。

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―石原先生と「製剤設計学」との出会いを教えてください。

大学に入学して勉強を進めていくうちに、薬物を必要な臓器や細胞に選択的に送り込んで治療効果を改善するドラッグデリバリーシステム(DDS)の面白さに惹かれ、薬剤学の研究室に入りました。大学院に進んで研究を進めるうちに、実用化研究に携わりたいと考える様になり、製薬企業に入社しました。製薬企業では、新しいDDS製剤のみならず、通常の錠剤や注射剤、経皮製剤の設計、承認申請業務などを経験しました。その中で、良い医薬品を創り出すためには、良い化合物を見つけるだけでなく、適切な処方を考案し、安定した製造方法と品質保証のための試験法を設定することが、極めて重要であることを実感しました。大学では、自分の経験を踏まえ、製剤設計の重要性を学生の皆さんに伝えたいと思っています。

―現在の研究と教室名に込めた思いを教えてください。

新たに見出された物質を製剤化によって医薬品へと仕上げる「創剤」の醍醐味は、物質の課題を把握して知恵を絞り、適切な製剤技術を適用することによって、医薬品としての有効性を最大化することにあります。最近では、mRNAワクチンの様に、元来は細胞膜を全く透過出来ない物質にナノ粒子技術を応用することで、医薬品としての利用を可能にしています。核酸医薬やタンパク質など、課題の多い研究対象に対し、有効性や利便性の向上を目標とし、様々な技術とサイエンスを駆使して解決に臨む教室でありたいと思い、「創剤科学教室」としました。

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―今後の抱負を教えてください。

製薬企業と比べると、大学での研究の規模は小さいですが、研究の自由度は高いと感じています。近視眼的な成果に捕らわれずに、夢のある研究を進めて行こうと思います。同時に、教室の学生さんたちの貴重な時間を共有して頂いているので、無手勝流に突き進むのではなく、少し頑張れば達成できるマイルストーンを決めて、段階的に着実に前進していきたいと思います。学生さん達には、卒論研究を通して、これまで学んできた知識を連結し、課題解決に繋げることを体感してもらいたいと思います。

―受験生へのメッセージをお願いします。

情熱とサイエンスは研究を進める双輪です。高い頂(目標)と現在地(実現)のギャップを冷静に見つめ、周囲を見渡し、足元を確かめながら、根気強く一歩ずつ登れば、到達できない頂上はありません。不可能を可能にする「Game Changer」の創出に一緒に挑戦しましょう!

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本件に関するお問い合わせ

東京薬科大学 広報課