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金色のユーグレナ®が免疫細胞を活性状態にすることをヒト試験で確認
自然免疫・獲得免疫の両方に働きかけ、風邪様症状の発生を抑制|プレスリリース
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2023.10.03
プレスリリース
今回、人を対象とした金色のユーグレナ®(*1)(パラミロンEOD-1®)(*2、3)摂取試験により、多面的な免疫調節機能の評価を行い、自然免疫(*4)(単球)(*5)と獲得免疫(*6)(T細胞)(*7)両方の免疫細胞を活性状態にすることで免疫機能を維持し、風邪様症状の発生を抑制することが初めて見出されました。
2019年から新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、現在は5類感染症に移行しましたが、依然として感染の波は押し寄せています。また、今年は季節外れのインフルエンザウイルスの流行も報告され、さらなる感染拡大が懸念されています。様々な感染症に対する懸念が広がる近年、健康的な生活を送る上で、日常的に免疫機能の維持に努めることは重要であり、本研究が人の免疫機能維持に貢献することを期待しています。
本研究は、京都府立医科大学(学長:夜久均)大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座 内藤裕二教授(パラミロン研究会 理事)、東京薬科大学(学長:三巻祥浩)薬学部 免疫学教室 大野尚仁名誉教授(パラミロン研究会 理事)、安達禎之教授、女子栄養大学(学長:香川明夫)栄養学部 生体防御学研究室 石橋健一准教授と株式会社神鋼環境ソリューション(社長:佐藤幹雄)の共同研究として実施しました。本試験においては主観評価(風邪様症状)と共に免疫細胞などの網羅的な解析を行い、メカニズムの一端を解明しました。なお、本研究成果は、国際学術誌「Journal of Functional Foods」に掲載されています。
(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1756464623004048)
今回、確認された主な結果は以下の通りです。
・風邪様症状の発生を抑制する作用(図1)
・単球の活性状態を維持する作用(図2)
・CD4陽性およびCD8陽性ナイーブT細胞を活性状態にする作用(図3)。
単球は主に自然免疫において病原体等の異物を取り込み消化します。その後、獲得免疫への橋渡しとして働き、獲得免疫において中心的な働きをするT細胞に異物の情報を伝えます。情報を受けたCD4陽性ナイーブT細胞は活性化して、司令塔役(ヘルパーT細胞(*8))として様々な免疫細胞を活性化し、CD8陽性ナイーブT細胞はキラーT細胞(*9)となって感染してしまった細胞を攻撃します。
金色のユーグレナ(パラミロンEOD-1)は、自然免疫に働く単球と獲得免疫に働くナイーブT細胞の働きをサポートすることで、それぞれの情報伝達能力を高めることにより、生体防御機能をつかさどる免疫機能全体に働きかけ、その結果、風邪様症状の発生が抑制されたと考えられます(図4)。
金色のユーグレナ(パラミロンEOD-1)は、腸管の免疫細胞を刺激することで作用すると考えられています。今後は、この腸の免疫細胞に対する作用や免疫細胞間コミュニケーションの詳細なメカニズムを明らかにしていく予定です。
図1. 風邪様症状を自覚した累積日数の比較
図2. 単球におけるCD80(*10)発現量の比較
図3. ナイーブT細胞におけるのCD28(*10)発現量の比較
図4. 金色のユーグレナ(パラミロンEOD-1) が免疫系に与えると想定される影響
論文内容
◆論文タイトル:High-Parameter Immune Profiling and Subjective Health Assessment of the Immunomodulatory Effects of Paramylon-Rich Euglena gracilis EOD-1: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Parallel-Group Study
(パラミロン高含有ユーグレナグラシリスEOD-1株による免疫調節効果のハイパラメーター免疫プロファイリングと主観的健康評価)
◆概要:
1.対象者
健康な成人男女24名
2.試験食品
1日摂取量2粒あたりユーグレナEOD-1株をパラミロンEOD-1として 350mg含有するカプセルを被験食品とした。対照食品は、セルロースを含有するカプセルとした。
3.試験デザイン
二重盲検並行群間比較試験(*11)として実施。被験食品群(パラミロンEOD-1群)にはパラミロンEOD-1含有カプセルを、対照群にはプラセボカプセルを、それぞれ1日1回2粒を毎日12週間摂取させた。
4.主な結果
・風邪症状(寒気・悪寒、熱っぽさ、頭痛、咳、喉の痛み)を自覚した累積日数において、パラミロンEOD-1群は対照群と比較して、有意な改善が確認された(図1)。
・単球において、パラミロンEOD-1群は対照群と比較して、情報伝達に必要なCD80発現量が有意に高値を示し、維持されていることが確認された(図2)。
・CD4陽性およびCD8陽性ナイーブT細胞において、パラミロンEOD-1群は対照群と比較して、情報伝達に必要なCD28の有意な上昇が確認された(図3)。
(*1)金色のユーグレナとは
株式会社神鋼環境ソリューションが機能性を発見した新規株「ユーグレナグラシリスEOD-1株」を光合成させずにタンクの中で純粋培養したもの。株そのものが持つパラミロンを豊富に含有する特長に加え、光を遮蔽した製造方法を採用することにより、パラミロン含有率は70%を超える。特許番号:特許第6329940号
(*2)パラミロンとは
ユーグレナが体内に貯蔵する独自の成分で、3本の直鎖状のβ-1,3グルカンがねじれあう螺旋構造をしている。パラミロンの形状はユーグレナの種類によって特徴があり、棒状やリング状、球状など様々な形状がある。一般的に、光合成で育てたユーグレナのパラミロン含有量は7~10%程度である。パラミロンに関する詳しい情報(パラミロン研究会HP):https://paramylon.jp/
(*3)パラミロンEOD-1とは
株式会社神鋼環境ソリューションが機能性を発見したユーグレナの新規株「ユーグレナグラシリスEOD-1株」に含まれるパラミロン。株式会社神鋼環境ソリューションの研究により免疫力の向上、精神的・身体的疲労感の軽減、自律神経バランスの調整、血糖値上昇抑制、LDLコレステロール低下などの効果を確認している。パラミロンEOD-1に関する詳しい情報:https://eod1-paramylon.com/
(*4)自然免疫とは
病原体等の侵入者をいち早く感知し、最前線で排除するシステム。自然免疫を担う細胞は、病原体等にあって私たちの細胞には無いさまざまな分子を認識する受容体をもっており、これによって病原体等に速やかに反応してこれをやっつけようとする。
(*5)単球とは
主に自然免疫に働く免疫細胞で、血液を循環する白血球の3~8%を占め、細菌などの異物を細胞内に取り込み、消化する。また、異物の一部を細胞表面に提示し(抗原提示)、これをT細胞が認識する。このとき、CD80などがT細胞のCD28と結合することが必要となる。単球は、組織においてはマクロファージや単球由来樹状細胞に分化する。
(*6)獲得免疫とは
抗原提示細胞と呼ばれる細胞群から病原体等の侵入者の一部(抗原)を提示され(情報伝達を受け)、侵入者特異的に排除する免疫システム。感染した病原体を特異的に見分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会った時に効果的に病原体を排除できる。
(*7)T細胞、ナイーブT細胞とは
T細胞は獲得免疫において中心となる細胞であり、単球などの抗原提示細胞からの外来因子の情報を受けて(抗原提示)活性化し、生体防御に働く。ナイーブT細胞は、病原体等の外来因子に出会ったことのないT細胞であり、CD4陽性ナイーブT細胞は、活性化してヘルパーT細胞となり、CD8陽性ナイーブT細胞は活性化して、キラーT細胞となる。このとき、CD28が抗原提示細胞のCD80などの分子と結合することが必要となる。
(*8)ヘルパーT細胞とは
CD4陽性T細胞のうち、情報伝達(抗原提示)により活性化したT細胞で、Th1細胞、Th2細胞など様々なヘルパーT細胞がある。それぞれのヘルパーT細胞が、様々な免疫細胞(マクロファージやナチュラルキラー細胞、B細胞など)の機能を調節し、生体防御に働く。
(*9)キラーT細胞とは
CD8陽性T細胞のうち、情報伝達(抗原提示)により活性化したT細胞で、細胞傷害性T細胞とも呼ばれる。情報伝達をうけ、病原体等に感染した細胞を認識して攻撃する。
(*10)CD80、CD28とは
抗原提示細胞やT細胞の表面に存在し免疫応答を調節する重要な役割を果たすたんぱく質。抗原提示細胞とT細胞間の情報伝達(抗原提示)によりT細胞の活性化が起こるためには、主刺激となる抗原(病原体等の侵入者の一部)を介した細胞膜上の分子の結合以外に、副刺激が必要である。この副刺激は、抗原提示細胞の表面にあるCD80などの分子とT細胞の表面にあるCD28の結合により起こり、この結合が起こらないとT細胞は活性化されない。それぞれの細胞は、CD80やCD28の発現が上昇することで、抗原提示を起こしやすい活性状態にあると言える。
(*11)二重盲検並行群間比較試験とは
被験食を含む食品を摂取するグループと被験食を含まない食品(プラセボ)を摂取するグループに分けて、この2グループの間で有効性を比較する試験のこと(並行群間比較)。また、各グループの参加者は、それぞれ、どちらの食品を摂取しているかは分からないようにしている(二重盲検)。二重盲検並行群間比較試験は、ヒト試験の試験デザインとしては、非常に信頼性の高い試験方法。
関連リンク
【研究に関するお問い合わせ先】
- 東京薬科大学 薬学部 免疫学教室 教授 安達 禎之
【取材に関するお問い合わせ先】
- 東京薬科大学 総務部 広報課
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