ニュース&トピックス 【研究】 分子生物化学研究室博士課程3年の森 雅矢さんの論文が英国王立化学会の雑誌Chemical communicationsに掲載されました。

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2019.07.01

論文タイトル
A highly selective fluorogenic substrate for imaging glutathione S-transferase P1: development, and cellular applicability to epigenetic studies
著者
Masay Mori, Yuuta Fujikawa,* Manami Kikkawa, Moeho Shino, Mei Sawane, Shiho Sato, and Hideshi Inoue
掲載誌
Chemical Communications

本論文はGSTP1という細胞内に存在する薬物代謝酵素をターゲットとした蛍光プローブの開発についてです。蛍光プローブとは「標的分子と反応する、あるいは標的分子によって反応を受けることで、蛍光特性(蛍光の色や強さ)が変化する分子の総称」です。今回開発された蛍光プローブは、がんに豊富に存在するGSTP1という分子によって反応を受け光るようになる分子です。GSTP1は正常細胞には少ないので、この蛍光プローブによってがん細胞と正常細胞を区別することができるかもしれません。

筆頭著者である森 雅矢さんからのコメント

本研究を通して失敗から考えることの大切さを学びました。それを強く感じたのは学部4年次、自分の思った通りの実験結果が出なかったときのディスカッションです。私はそのときの実験結果を失敗と捉えていましたが、先生は次の実験に繋げるための知見として捉えていたのを感じました。このときを境に、思い通りにいかなかった実験を失敗として終わらせるのではなく、どうすれば次に繋がる知見に変換できるかを考えるようになりました。そうして、苦しくも非常に面白いトライ&エラーを繰り返した結果、目的に沿う蛍光プローブを開発することができました。この過程で学んだことは研究以外にも生かすことができるので、これからも大切にしていきたいと考えています。最後に、研究の面白さを教えてくださった先生方、本研究をつなげてくださった諸先輩方、研究を支えてくださった方々に感謝申し上げます。