ニュース&トピックス 微生物は紫外線下で長期間生存可能:国際宇宙ステーション曝露実験|プレスリリース |CNNニュース掲載(8/27更新)

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2020.08.26

プレスリリース

報道機関各位

本学名誉教授 山岸明彦らのグループは、宇宙空間を生命が移動する「パンスペルミア」仮説の検証実験を行いました。
その結果、火星と地球の間の最短の移動時間、微生物が生存可能であることを確認いたしました。
【 概 要 】
微生物は紫外線下で長期間生存可能:国際宇宙ステーション曝露実験
東京薬科大学・JAXA 山岸明彦(名誉教授)

国際宇宙ステーションで2015年から実施された「たんぽぽ計画」にて、微生物を宇宙空間で紫外線照射下で3年間暴露した微生物の生存が測定され、微生物が火星と地球を移動する最短時間、生存可能であることが示された。この結果はパンスペルミア仮説を支持している。最初の生命はRNA生物であるという実験的証拠が集まっているが、生命の起原に関しては未知の部分が多い。地球で生命が誕生したのかどうかも分かっていない。生命が惑星間を移動可能であるならば、地球上の生命は火星で誕生した可能性もある。今後、火星探査により化石あるいは現存する生命が発見されるなら、多くの情報が得られることになる。

「パンスペルミア」という仮説は、宇宙空間を生命が移動するのでは無いかという仮説である。この仮説を検証するため、国際宇宙ステーション曝露部で放射線耐性微生物Deinococcus radiodurans (デイノコッカス・ラジオデュランス)を宇宙空間に3年間曝露する実験を「たんぽぽ計画」として実施した。本論文では、3年間暴露した微生物の生存の時間経過を測定することから、紫外線が当たった条件で数年、紫外線が当たっていない環境では数十年、微生物が生存可能であることを初めて検証した。自然現象での火星と地球の行き来には平均すると数千万年かかるが、移動する軌道によっては数ヶ月から数年で火星と地球の間を移動する場合がある。したがって、惑星間移動の他の過程(惑星からの脱出、移動の確率、他の惑星への着陸、他の惑星での増殖)の可能性を含めて考える必要があるものの、最短の移動時間を考えるなら、今回の微生物宇宙曝露実験で得られた結果は、火星と地球の間の移動の間、微生物が生存可能であることを示した。

国際宇宙ステーション(名入り).jpg

宇宙曝露実験装置(たんぽぽチーム)名入り.jpg


【8/27更新】

本研究に関する記事がアメリカCNNニュースにて掲載されました。

Bacteria from Earth can survive in space and could endure the trip to Mars, according to new study

(掲載リンク)

今後の研究の発展に邁進してまります。

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