ニュース&トピックス 環境応答植物学研究室の大貫晋平さんらの「オオミジンコおよびセスジユスリカ幼虫を用いた農薬代謝試験系の研究」に関する論文がEcotoxicology誌に掲載されました
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2023.03.10
ミジンコおよびユスリカの幼虫は、畑や水田で使用された農薬の環境中生物相への影響の評価に用いられる重要な試験生物です。しかし、これらの生物の体内に取込まれた農薬がどのように代謝・分解されているのかほとんどわかっていません。シトクロムP450(CYP)は、生体外から侵入する化学物質の代謝に働く主要な酵素として知られており、幅広い生物界に存在しています。本研究では、オオミジンコおよびセスジユスリカ幼虫において、CYPの阻害試薬であるピペロニルブトキシド(PBO)および1-アミノベンゾトリアゾール(ABT)を利用して、農薬の代謝へのCYPの関与を推測する試験系を確立しました。農薬をPBOまたはABTとオオミジンコおよびセスジユスリカに同時に暴露し、農薬単独での暴露と比べて毒性影響が変化した場合、その農薬はCYPによる代謝・分解を受けていると判定する、というのがこの試験系の原理です。この試験系で15の農薬成分を試験し、オオミジンコでは2種類、セスジユスリカでは4種類の殺虫剤がCYPによる代謝・分解を受けていることがわかりました。この試験系は、環境中への生物相への影響の小さい新規農薬成分の開発や、農薬の環境中生物相への影響を予測するのに活用できると期待されます。
これらの研究は、東京薬科大学 生命科学部 環境応用植物学研究室の社会人博士課程3年の大貫晋平さん(日本曹達株式会社 小田原研究所 安全性研究部 研究員)らを中心にして行われた研究成果です。
論文情報
タイトル: “Utilization of piperonyl butoxide and 1-aminobenzotriazole for metabolic studies of toxic chemicals in Daphnia magna and Chironomus yoshimatsui“
Doi: 10.1007/s10646-022-02617-4
著者: Shinpei Ohnuki, Yoko Osawa, Takeru Matsumoto, Shinichi Tokishita, Shoko Fujiwara
掲載誌: Ecotoxicology, Volume 32, Pages 25-37 (2023)
https://link.springer.com/article/10.1007/s10646-022-02617-4
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