ニュース&トピックス レポート|生命科学部 ゲノム情報医科学研究室の細道教授にゲノム医科学について伺いました

  • 生命科学部
  • 生命医科学科

2024.01.19

―ゲノム医科学について教えてください。

ゲノム医科学はゲノム情報に基づいて病気の原因を解明することや診断や治療法を研究する学問分野です。ゲノムとは遺伝情報の全体を示す言葉で、私たちの形質がそれぞれ違うようにゲノムも個人によって違います。親から子に特徴が伝わるのはそれを伝えるゲノムDNAに含まれる遺伝子の働きの違いが伝わるからです。個人のゲノム情報がわかるとそこから病気の原因となる異常を見つけ、その働きを補うことで新しい治療法を開発することが可能となります。現在では次世代シーケンサー(NGS)と呼ばれる機械を用いることで個人ゲノムを24時間以内に決定することができます。

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―細道先生とゲノム医科学との出会いを教えてください。

大学院時代は鳥類の免疫遺伝子の進化を研究していました。博士の学位を取得したあとに東海大学医学部で研究員をしていたときに魚類からヒトも含めた哺乳類までの免疫系のゲノムの進化を解析する仕事に従事しました。この遺伝子はヒトではHLA遺伝子という遺伝子で、免疫応答の入り口となる機能をもち、100以上の疾患と関連することが知られている医学的に重要なゲノム領域の一つです。この時に新しいゲノム解析技術であるNGSが登場し、ゲノム医科学研究は飛躍的に進歩しました。そこから全ゲノム解析などの手法を用いた疾患ゲノム解析を始めて現在に至ります。

―現在の研究と教室名に込めた思いを教えてください。

ゲノム情報医科学研究室は【ゲノム医科学×データサイエンス】をテーマにスタートした新しい研究室です。ヒトのゲノム情報はビッグデータであり、その扱いにはデータサイエンスの知識が不可欠です。NGSなどのゲノム解析技術の進歩により、個人のゲノム配列が容易に決定できるようになった一方で、その巨大で複雑な情報の理解が課題になっています。そのためにはAIを活用するなど新たな手法も必要です。データサイエンスの力で個人のゲノム情報に基づいた診断・治療・予防のための医療応用を目指した研究を目指しています。

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―今後の抱負を教えてください。

生命科学部ならではのAI人材育成を目指しています。ゲノム情報が社会においても重要な役割を持つようになり、ゲノム解析に関連する市場規模の予測も右肩上がりで、ビジネスとして見ても重要な産業となっていますが、問題となっているのがゲノム解析およびそのデータ解析の技術を持った人材の不足です。社会で活躍できる人材を育成する役目を持った大学において、社会で今必要とされているデータサイエンス人材の育成は急務であると言えます。私が進めている研究を通じて臨床データとゲノムデータの知識と扱いに特化した「生命科学部だからこそできるAI人材」の育成が可能と考えています。

―受験生へのメッセージをお願いします。

「ゲノム」という言葉を聞くと皆さんはどんなイメージを思い浮かべますか?「DNA」「遺伝子」など似た言葉も多く、よくわからない、怖いなど、どちらかというと親しみが無いイメージだと思います。ゲノムは実は身近な話題と関係し、私たちの生活をより良く変える可能性のある情報です。ゲノムについていっしょに学び、研究してみましょう。

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本件に関するお問い合わせ

東京薬科大学 広報課