ニュース&トピックス 応用生態学研究室の「大気CO2濃度の上昇が作物の光合成に与える影響」についてまとめた論文がCrop and Environment誌に掲載されました。

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2024.01.27

論文情報

タイトルExploring the responses of crop photosynthesis to CO2 elevation at the molecular, physiological, and morphological levels toward increasing crop production

 

Doi:  https://doi.org/10.1016/j.crope.2023.11.006

 

著者Daisuke SugiuraYin WangMasaru KonoYusuke Mizokami

 

掲載誌Crop and Environment, 2023

大気中のCO2濃度の急速な上昇が予測されてから、CO2濃度の上昇が植物に与える影響について多く研究されてきました。本論文では、高CO2濃度が植物の光合成にどのような影響を与えるのかを、特にC3型光合成をする作物の近年の研究結果からまとめました。

CO2濃度の上昇は光合成の基質としてのCO2量が増えるため、光合成速度の上昇や、作物の収量の増加が報告されています。一方で、長期的なCO2濃度の上昇は、CO2の取り込みやすさを抑制する気孔密度の低下や、葉内でのCO2拡散抵抗の増加、光合成活性を抑制する非構造性の炭水化物の蓄積などによる光合成速度の低下も報告されています。光合成器官における非構造性の炭水化物の蓄積は、光合成産物を蓄える貯蔵活性(シンク活性)が光合成活性(ソース活性)と不釣り合いなバランスから起こると考えられます。今後は、作物によってシンク活性とソース活性のバランスが異なることを前提に研究することで、長期的なCO2濃度の上昇が作物の光合成に与える影響を精度良く推測できることを提案しました。

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東京薬科大学 生命科学事務課