ニュース&トピックス 高度好熱菌に感染する新規のバクテリオファージを単離

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2024.03.17

本学名誉教授である大島泰郎博士らは静岡県賀茂郡河津町にある峰温泉(図1、泉源温度は約100℃)から、世界で初めて高度好熱菌に感染するバクテリオファージ(略してファージ)を単離し、φYS40と命名しました。その後、私達のグループはこのファージが好熱菌の線毛を受容体として感染することを見出していました。

そこで今回、好熱菌ファージの多様性を調べるため、線毛の遺伝子を人為的に破壊した好熱菌を宿主として、同じ峰温泉からやや小型のφMN1を単離しました(図2)。このファージはφYS40と同じ科に属しますが、ゲノム解読の結果、φYS40とは異なる進化を辿ってきたことが示唆されました。同じ峰温泉内でありながら、好熱菌とファージの間で多様な戦いが繰り広げられている様子が伺えます。

今後はφMN1の感染に必要な受容体を調べる一方、有用な耐熱性酵素などを見つけ、直接社会に役立ちそうな研究も行う予定です。

図1-2v2.png

論文情報

タイトル: “Isolation and genomic analysis of a type IV pili-independent Thermus thermophilus phage, φMN1 from a Japanese hot spring”

Doi:  https://doi.org/10.2323/jgam.2023.06.008

 

著者

Masatada Tamakoshi, Atsushi Hijikata, Kei Yura, Kenshiro Oshima, Hidehiro Toh, Kaoru Mitsuoka, Tairo Oshima, Yoshitaka Bessho

 

掲載誌J. Gen. Appl. Microbiol., 69, 117–124 (2023)

本件に関するお問い合わせ

東京薬科大学 生命科学事務課