ニュース&トピックス 本学大学院社会人博士課程における研究「オオミジンコにおけるシトクロム P450の解析」に関する論文がEnvironmental Toxicology誌に掲載されました

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2024.05.24

日本曹達株式会社 リサーチ&イノベーションセンター 研究員の大貫晋平さんが本学大学院社会人博士課程にて行った「シトクロムP450(CYP)に着目したオオミジンコにおける農薬代謝の研究」に関する論文をEnvironmental Toxicology誌に発表しました(環境応用植物学研究室、食品科学研究室、生物情報科学研究室との共同研究)。

屋外で使用された農薬は農地周辺の陸域や水域へ混入するため、環境中の生物相への影響が懸念されます。それゆえ、農薬を使用するには数種類の環境生物の毒性試験を行い、安全性が認められなければいけません。オオミジンコは多くの国で化学物質の環境影響を評価する試験生物種に指定されています。しかし、オオミジンコの体内に取込まれた農薬がどのように代謝(分解)されるのかほとんどわかっていません。また、CYPは多くの生物で生体外から侵入する化学物質の代謝に働く主要な酵素であり、昆虫では脱皮を制御するホルモンの生合成に深く関与していることも知られていますが、オオミジンコでのCYPの機能についてほとんど情報がありません。

本研究では、農薬の毒性試験時にオオミジンコでどのような代謝酵素の遺伝子が発現しているのか、さらにクロルピリホスという農薬(農業用殺虫剤)に曝された時にそれらの遺伝子発現がどのように変化するのか、特にCYPに注目し、RNA-sequencingという方法で解析しました。また、発現が確認された38種類のCYPの中で着目したCYPについて、クロルピリホスや他の農薬を代謝するかどうか、分子ドッキングシミュレーションで予想しました。

本研究で得られたデータは、農薬の環境影響評価に用いられるオオミジンコにおけるCYPの機能解明に役立つと考えられます。

 

論文情報

タイトル: “Effect of chlorpyrifos-exposure on the expression levels of CYP genes in Daphnia magna and examination of a possibility that an up-regulated clan 3 CYP, CYP360A8, reacts with pesticides“

Doi: 10.1002/tox.24224

著者: Shinpei Ohnuki, Shinichi Tokishita, Masaki Kojima, and Shoko Fujiwara

掲載誌: Environmental Toxicology, (2024) 39:3641-3653

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/tox.24224

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