溝口 莉菜

薬学部 医療薬学科 6年(取材当時)

東京都立戸山高等学校出身

つらいと感じたことも自分の経験値に―卒業研究で伸びた「忍耐力」と「計画力」|私の学修成果

6年間の学修成果

  • 計画的に進める力
  • 未知の実験材料に果敢に挑戦する姿勢
  • 経験を成長につなげる能動的な姿勢
  • 大学病院(研修生)に内定

初めて扱う新物質“イオン液体”に取り組んだ卒論研究

卒業研究のテーマは、「イオン液体がUDP-Glucuronosyltransferase 1A6(UGT1A6)の酵素活性に与える影響に関する研究」です。大腸菌に発現させた不活性なUGT1A6をイオン液体で溶解することで酵素活性機能の獲得ができるのではないか、というテーマに面白さを感じて取り組みました。しかし、イオン液体は所属する研究室の先生方や先輩も扱ったことのない未知の実験材料でした。そこで、指導教員の先生と共同研究者である他教室の先生ともディスカッションを重ね、自ら文献等を調査し実験方法を検討して実験計画を模索し、工夫しました。細胞を用いた実験では期待通りに細胞が増えないことや、酵素活性の測定では予想通りの結果が出ないこともたびたびありましたが、当研究室で前例がないからこそ、「今度は反応の条件を変えてみよう」など、自分なりの発想で試行錯誤できることにやりがいを感じながら取り組むことができました。実験結果を見ながら、自分なりに研究の進度とスケジュールを考えて複数の実験を同時進行で進め、研究成果をまとめることができました。

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卒論研究を通して伸びた「忍耐力」と「計画力」

未知の物質を扱う卒論研究に能動的に取り組むことで、うまくいかなくてもめげない「忍耐力」と優先順位をつけて取り組む「計画力」が身につきました。特に、目標達成に向けてその時々に自分がすべきことを考え、計画を立てて実行し、進捗を見て柔軟に計画を変更しながらゴールに向けて進める力が伸びたように思います。つらい時もありましたが、そんな時に私を支えてくれたのは、中学生の時に知ったベートーヴェンの言葉、「努力した者が成功するとは限らない。 しかし、成功した者は必ず努力している」です。自分の希望通りに物事が進まないことはいくらでもあります。でも、どんなにつらいと感じたことも私の経験値となり成長につながるのだと捉えられるようになりました。つらい時にこそ、自分が置かれた環境でできる限りのことをする大切さを実感しました。

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部長になって感じた周囲への感謝の思い

研究以外に最も力を入れて取り組んだことは、ハルモニア管弦楽団での部活動です。年2回の定期演奏会のほか、入学式や卒業式、オープンキャンパスなどの学内行事での演奏に向け、日々練習を重ねました。3年生の時に部長に選ばれ、あらためて気がついたのは周囲からの支えの大きさでした。部長として、練習や演奏会の日程や場所の確保のため学内外で調整を行う中で、それまで当たり前にできていた部活は、実は多くの方の協力があってこそだったと知りました。この経験から、いつもどこかで誰かが支えてくれていることに気づいて感謝できるようになりたい、私自身も気遣いできる人になりたいと心がけるようになりました。3年生の11月に迎えた最後の演奏会で印象的だったのは、とても楽しそうに演奏する部員の姿を見ながら演奏できたことです。大変な時も支えてくれる仲間たちに出会い、一緒に乗り越えてきたからこそ今日がある、頑張ってよかったと心から思えた演奏会でした。

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患者さんの気持ちを前向きにできる薬剤師を目指して

小学生の時、親身に接してくれた薬局の薬剤師の方に出会い、高校入学後から薬学部を志望しました。大学では病院での実務実習を経験し、病院薬剤師への思いを強くしました。なかでも半年間、しっかり知識と実践力を身につけられる薬剤師研修生に魅力を感じ、卒業後は、憧れていた大学病院に研修生として入職します。研修後は、知識や経験を活かして、医師や看護師の方などと協力しながら患者さんの治療に貢献できる薬剤師として頑張りたいと考えています。また、大学病院では研究成果が直接患者さんに還元できる臨床研究も行っているため、研究を通して治療に貢献することにも関心があります。将来は、幼い頃に出会った薬剤師の方のように、私と接した患者さんに少しでも気持ちが前向きになるような言葉や気持ちを伝えられる、そんな薬剤師を目指して、卒業後も勉強に励みたいと思っています。

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