伊藤 勇気

薬学部 医療薬物薬学科 6年(取材当時)

私立 学校法人静岡理工科大学星陵高等学校出身

仲間と高め合って成長した6年間|私の学修成果

6年間の学修成果

  • 研究力
  • リーダーシップ
  • コミュニケーション力
  • 探求心・向上心

成長を実感した研究室での学び

高校の野球部で運動障害から立ち直った経験から、健康や医療に貢献する仕事に就きたいと考えるようになりました。東薬を志望したのは、歴史も長く、研究室数も40以上と多いので、自分が希望するテーマに近い研究に取り組めるのではと感じたからです。さらに教員1人当たりの学生数が少ないため、手厚い教育を受けられることが魅力でした。実際に、4年生から所属している創剤科学教室は、石原比呂之先生が学生の自主性を重んじながらも学生の目線に立って指導してくれるので、恵まれた環境でのびのびと研究に取り組めます。4年生までに学んだことをベースに、研究室での3年間でさらに知識や経験を積み重ね、実験へのアプローチや研究計画を提案できるほど研究を自分で進める力がつきました。先生や先輩、研究室の仲間と和気あいあいとディスカッションしながら、お互いの研究を支え、高め合える環境も自分の成長につながったと思います。

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リーダーシップとコミュニケーション力が磨かれた東薬祭の実行委員

私は、1年生から3年生まで東薬祭(学園祭)の運営に関わりました。思い出深いのは、実行委員を務めた2年生の時です。パートリーダーとして、1年生50人に協力してもらい、大掛かりな舞台を半年かけて組み立てることになりました。ところが、リーダーとして1年生と接するうちに、様々な考え方や価値観があることがわかり、集団をまとめる難しさを実感しました。そこで、1人1人と丁寧にコミュニケーションを取ったり、秋までモチベーションを維持できるよう1週間ごとの目標を話し合いで決め、こつこつ制作を続けて完成にこぎつけることができました。出来上がった舞台を嬉しそうに見つめる1年生を見て、仲間と協力して1つのものを作り上げた喜びが胸にこみ上げたことを覚えています。コミュニケーション力とリーダーシップが鍛えられただけでなく、チームで目標を達成するためにはお互いの意見を尊重して進める大切さを学べた経験です。

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がん細胞に薬よ届け!新技術「ハイブリッドエクソソーム」の開発

5年生からは、本格的な卒論研究が始まります。私は、がん免疫療法を可能にするDDS(ドラッグデリバリーシステム)のキャリア(薬の運搬役)として、「ハイブリッドエクソソーム」の開発に取り組みました。「エクソソーム」は、細胞から分泌され、細胞間で物質を輸送する性質があります。特定の細胞に薬を運べる可能性がありますが、エクソソームへの薬の封入は困難です。一方、薬を封入できるカプセルのような「リポソーム」という剤形があります。そこで、運搬役のエクソソームと薬を封入できるリポソームを融合させた新物質「ハイブリッドエクソソーム」を作ろうと考えました。標的となるがん細胞に薬を運ぶことを目指した新しいDDS技術の開発です。様々な条件を試してもなかなかエクソソームとリポソームが融合せず、既存の技術を応用できないか海外の論文を読んだり、研究室で議論しながら探求する苦しい日々が続きました。7か月かけてようやく融合の兆しをつかみ、ついにハイブリッドエクソソームの開発に成功しました。小さな成果を積み重ねて生まれた新技術の研究は、後輩が引き継いでくれることになっています。

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東薬は「仲間と高め合える場所」

私にとって東薬は、「仲間と高め合える場所」です。仲の良い友人とは、6年間を通して勉学で競い合いながら学力を高めてきました。東薬祭では、仲間と協力して大きな目標を達成する喜びを知りました。研究室では、様々な研究に取り組む先輩や後輩たちとお互いの研究に応用できるアプローチがないか意見を出し合いながら研究を進めることができました。人も環境も良い東薬でともに高め合える大切な仲間たちと出会い、とても楽しい6年間を過ごすことができました。
卒業後は、製薬企業で医薬品の品質確保や安定供給に携わる「生産管理・技術職」として働きます。この職種を選んだのは、実務実習中にジェネリック医薬品の供給不足で不安を抱えた患者さんと接したことがきっかけです。入社後は、患者さんの声を生産現場に活かせる仕組みを生かして、信頼のおける医薬品を安定的に供給できるよう医薬品供給の砦になりたいと考えています。将来は、新しい認知症治療薬の製造の効率化に関わり、薬価の面からも患者さんに貢献したいと思います。

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