深江 桃花

薬学部 医療薬学科 6年(取材当時)

私立星野高等学校出身

一人一人に合った薬物治療を目指して|私の学修成果

6年間の学修成果

  • 成果を生む実験手技
  • 粘り強く研究を進める継続力
  • わかりやすく伝えるプレゼン力
  • 学術学会での受賞

個別化治療の実現を目指して

私が所属する個別化薬物治療学教室では、個別化医療における先端技術を開発する研究を行っています。私の研究テーマは、「臨床応用に向けた簡易的な新規CYP1A2活性評価法の開発」です。この新しい評価法は、1回の採血で患者さんに最適な薬の量や投与間隔を設計できるため、患者一人一人に合った薬物治療(個別化薬物治療)の実現に近づけることができます。私がこの研究を選んだきっかけは、高校生の頃、祖母が飲んでいた薬の量に疑問を感じたことでした。「こんなにたくさんの薬を飲む必要はあるのか、もっと祖母に適した薬や量があるのではないか」と思い、薬学への興味がわきました。そこで、カリキュラムが充実していて、高校の先生から面倒見が良いと勧められた東薬を選びました。講義で個別化薬物治療の医療現場での活用の難しさを学び、難しいからこそ自身の手で活用に向けた一歩を進めたいと決意し、個別化薬物治療学教室での研究を選択しました。

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研究力を磨いた卒論教室での学び

研究を始めた5年生の頃は、実験を行う手技や考察も得意ではありませんでした。目的の物質を定量分析する機器(LC-MS/MS)にも慣れず、試行錯誤しても望んでいる結果が得られないことも多くありました。私の研究を前進させてくれたのは、卒論教室での学びです。定期的に開かれるセミナーでは、自分の研究や実験の途中経過を報告するほか、学会に向けた発表練習会を行います。指導教員や先輩、同期、後輩たちとお互いの研究に意見や質問を出し合うことで自分の研究について考察を深め、研究を進める手がかりを得ることができました。セミナーに向けた準備でも、発表用のスライドを日本語版と英語版のそれぞれで図の使い方、見やすさ、文章量などを工夫することで、人前でわかりやすく説明する力も伸ばすことができました。

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学会での受賞につながった地道な継続力

研究に行き詰まった時もありましたが、これまでの実験経過を再考察し、溶媒の濃度を工夫して、実験の相棒になったLC-MS/MSを駆使して新しい評価方法を開発できたとわかった瞬間は本当に嬉しかったです。前例のない研究ならではの難しさがありましたが、卒論研究を通して、難しいことに積極的に挑戦し、地道にひたむきに諦めず継続していれば得られる成果があることを実感できました。
研究成果は、「第39回日本TDM学会・学術大会」で発表し、「学生優秀演題賞」を受賞することができました。もともと研究や実験、スライド作成が得意でなかった私が受賞できたのは、研究面でもモチベーションの面でも熱心に支えてくれた先生方や先輩方はじめ卒論教室のみんなのおかげだと強く感じています。また、薬学の知識や実験手技、考察力、プレゼン力といった面でも自分の成長を感じることができました。

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未来を切り開く病院薬剤師を目指して

今後の目標は、卒業後に病院薬剤師として働きながら、学会で口頭発表やポスター発表をすることです。これまでの学習を通して、医療は次々と進化し、新薬が開発されていることを感じたからです。将来は、専門・認定薬剤師の資格を取り、患者様の話をよく聞いて症状に合った薬や量を提案するだけでなく、言葉や寄り添い方も工夫して、心の負担を少しでも減らせる薬剤師になりたいと考えています。そして、卒業後も日々学ぶことを忘れず、研究を続けながらあらゆる視点から検討した根拠ある治療法を提案し、患者様の未来を切り開いていける薬剤師になれるよう精進していきたいです。

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