学科紹介 植物

“植物”とは何か。ふつうにみられる“植物”は、“高等植物”と言ったり、“陸上植物”と言ったりして、海藻や植物プランクトンなどと区別する。でも、多くの方々は、ふだん目の前に見られる緑の植物を“植物“と思っておられるであろう。あるいは光合成を行う生物全体を“植物“と思っておられるかもしれない。
分類学を専門にされている方々は、緑藻などを含めて緑色植物としているし、ほとんど陸上の植物だけを指して、特にシダと種子植物、即ち維管束植物を“植物“として捉えられる場合もある。この場合は、コケは維管束植物ではない。中には、アマモのように海にもどってしまった(?)種子植物もいる。アマモなどは、“海草”とよんで、コンブやワカメなどの“海藻“と区別する。
生物学の視点では、緑色植物、褐藻や紅藻、その他さまざまな藻類、原核生物のシアノバクテリアなどが、酸素を発生する光合成を行う(キーワード“藻類”や“光合成”を参照)。
陸上の植物はどのように生きているのか。光合成をするために、光を必要とする。そのため、上へ上へとふつう伸びる。一方、水や栄養塩が必要である。根を伸ばし、水を求める。上と下という、相反する方向に向かって伸びる。そのため、根と葉の間に維管束という管を発達させて、水や養分を運ぶ。植物の群落を見てみると、丈を一生懸命延ばして、人一倍(否、植物同士なので、「他の植物以上に」)早く高く伸びて、葉を広げようとする植物もいる。伸びるほど風雨に耐える強さが必要になる。あるいは、林床植物や陰性植物とよばれる植物のように、わずかな光ではあるが、ゆっくり生きようとする植物もいる。草原を見ると、ササは葉のふちがとがっている。風が吹いてササの葉どうしがすれ合うと、まるで挟みで切るように揺れる。ササの葉の下から伸びてきた他の植物の芽は、ササの葉の縁で傷つき、ササを超えて高くなることがなかなかできない。ササの草原が長く安定なのはこうしたところが一つの原因になっているという。(植物どうしの競争を見ていると、どこか社会の中での人の生き方と似たところを感じるのは、小生だけであろうか。筆者感想)