学科紹介 食欲の調節について
私達はお昼時になるとお腹が空き、食事がしたくなります。このような食欲はどのように調節されているのでしょうか。
まず、私達の食事について考えてみましょう。動物は、自ら炭酸同化をしてエネルギーのもとを作り出すことはできない従属栄養生物です。そこで、エネルギーや栄養を得るために食事をします。しかも、食べていない時間もエネルギーを使えるように貯蔵できる形に変換し、筋肉、肝臓、脂肪細胞など に貯蔵しています。空腹時はこれらの貯蔵されたエネルギーが使われます。
さて、食欲はどこで調節されているのでしょうか。食欲の調節には脳が関与しています。脳の視床下部には2つの中枢があり、「お腹が空いたな」とか「お腹がいっぱいだな」などの信号をキャッチします。すなわち、視床下部に摂食中枢と満腹中枢があり、胃が空っぽになり、胃がキューっと収縮し、お腹がグーと鳴ったら、摂食中枢が働いて食欲がわきます。逆に、胃が食べ物で満たされ拡張したり、食べ物が消化して血液中のブドウ糖濃度が最も高くなる時は満腹中枢に働きかけ、摂食を抑えます。
一方で、脂肪細胞に脂肪が蓄積すると、「レプチン」というホルモンが分泌され、視床下部にある受容体に働きかけ、食欲を抑えます。それと同時に交感神経に作用して、エネルギー消費を促します。このようにして、動物は食べる量を抑え、エネルギーの過剰な蓄積を防ぐことができるのです。
このメカニズム以外にも動物の食欲は様々な調節が行われていて、ストレスが関係する調節もあり、まだ全ては明らかになっていません。将来は、食欲を調節する薬ができるかもしれませんね。