佐藤 明里

株式会社 メディサイエンスプラニング 臨床開発部

東京都立南平高等学校出身
生命科学部 生命医科学科 卒業

医療に関わりたいという想いを持ち続け、大学で得られた力を今に活かしています。

高校生から持ち続けている、「医療に関わりたい」という強い想い。

10代の頃からずっと、「将来は医療関係の仕事に就きたい」という想いを持っていました。高校生の夏休みに参加した、病院看護師体験で人の死に直面する仕事は自分には向いていないことに気づいたものの、それでも医療に関わりたいという気持ちが強く残っていました。

進学に向けて大学を調べていく中で、東京薬科大学の生命科学部、特に生命医科学科では、医療に関する学習ができること、解剖学実習をはじめとした、充実した実習体系が整っていることを知り、興味を持ちました。さらにオープンキャンパスに参加して感じた校舎の雰囲気や、研究機材が充実していたことがとても魅力的に感じられ、進学を決意しました。

学生生活で得られた「コミュニケーション能力」と「医療・医学に関する知識」という2つの大きな力

東京薬科大学での学生生活を通じ、かけがえのない経験をすることができました。その経験から、2つの大きなものを得られたと感じています。

1つは、コミュニケーション能力。大学生の時には、「里山保全サークルASIATO」というサークルに所属し、副代表として運営を行っていました。このサークルでは、八王子市の学園都市文化課や、八王子市都市緑化フェア推進室と協同・連携をしながら、田んぼアートをはじめとしたイベントの運営やボランティア活動をしていました。サークルの活動運営をする中で、メンバーをまとめることと同時に、大人との交流、交渉が必要になります。そういった経験から、アサーション能力や関係調整能力をはじめ、色々な立場の人に対するコミュニケーション能力を身に付けることができました。

もう1つは、医療・医学に関する知識。生命科学部では、学科ごとにさまざまな学問を学びます。もともと興味を持っていた医療・医学に関する講義や実習は、大学の授業でしっかりと学ぶことができました。そこで受けた免疫学の授業で細胞に興味を持ち、4年次に細胞情報科学研究室への配属を選択したことが、CRA(臨床開発モニター)職を目指す遠因になりました。というのも、このCRAという業種は、就職活動を始めてから、研究室の先輩やサークルの先輩など、卒業生の多くの人が進路として選択していることをきっかけに知りました。私自身も薬の開発に携われる仕事に興味があり、医療に関わりたいという強い想いもあったのでこの道に進みました。現在の仕事でも、特に免疫学、分子細胞生物学、薬理学の薬に関する知識は、薬の作用を医師に説明するときなどにしっかりと役に立っています。

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CRAとして仕事をするうえで、東京薬科大学を卒業してよかったと感じる。

現在、私は前述のCRA(臨床開発モニター)として、CRO(開発業務受託機関)の株式会社メディサイエンスプラニングで働いています。CRAは、治験と呼ばれる新薬開発に向けて薬の安全性や有効性に関する情報を収集するための臨床試験が、計画書通りに実施されているかを確認する仕事です。

新薬を開発するためにはそのお薬が安全で、有効性があるということを国に認めてもらわなければなりません。国からの承認を得るために治験という臨床試験を通して、被験者さんに薬を投与し、薬の安全性・有効性のデータを収集します。具体的には、『治験ごとにあらかじめ定められている手順書・計画書等に従った試験運用がなされているか』、『被験者さんから収集したデータが正確であり矛盾点がないか』、『治験薬の管理状況や在庫数に問題がないか』等を、医療施設に保管されているカルテや原資料を確認したり、担当の医師と面会したり、メールや電話でやり取りしながら確認します。

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実際の業務では、施設に訪問して医師と話す機会があり、緊張はしますが、多くの先生と意見を交換し、疾患の知識を得られることは魅力に感じます。中には気難しい先生や、難しい質問をしてくる先生もいますが、大学で培った「コミュニケーション能力」や「医療の知識」を活かして業務に取り組んでいます。薬科大学を卒業していなくてもCRAになることはできますが、先生との話はある程度薬の知識を持っている前提で進むため、東京薬科大学で学んでいてよかったと感じる場面も多々あります。業務を完遂した時には、ほっとすると同時に自分の成長を実感することができます。

今後の目標は、自身の携わるプロジェクトから新薬開発を成功させたいということですね。

後輩へのメッセージ

大学では、計画性をもって行動する力が重要です。高校までとは違い大学は科目数も多いので、ただ単に勉強して知識をつけるのではなく、数ある教科の中で試験日程や試験範囲、難易度、自分の得意不得意も考えて、効率的、計画的に勉強を進める力や、計画通りにいかなかったときに対応する力が身に付いたと思います。もちろん初めのころは計画通りいかず、徹夜してなんとかテストを乗り越えることもありましたが、失敗できるのも大学生のうちだけかと思いますので、いい経験だったと思います。

東京薬科大学に入学しなければ、治験のこともCRAの業界のことも知らなかったかもしれません。今この職業で働いていて、大学での経験を活かす薬に関わる仕事ができて良かったなと思うと同時に、新薬開発に携わり、薬を必要として困っている患者さんの助けとなっていることに誇りも感じています。同じ進路を目指す方にも、勉強や就職活動を乗り越え、後悔のないよう頑張ってほしいです。

_S0A0879_900x600.jpg「私にとって、東京薬科大学は」