若狭 由布子

生命科学部 分子生命科学科 4年(取材当時)

東京都立三鷹高等学校 出身

大学4年間で学んだ生命科学。この面白さを伝えていきたい。

『三鷹中等教育学校・東京薬科大学連携授業』を企画・運営しました。

生命科学部の3、4年生11人で東京都立三鷹中等教育学校の中等3年生に対して「三鷹中等教育学校・東京薬科大学連携授業」を行ってきました。この授業を行おうと思ったきっかけは、教育実習での経験にあります。ある授業で自然現象やこれまでの理科の内容について生徒たちが調べ、発表するというものがありました。その発表内容はとても面白く、現実的な面についても生徒たちが考えていることに驚きました。それと同時に、せっかくなら発表するだけでなく、実行できればもっとおもしろいだろうなという思いも生まれました。しかし、(その発表のテーマが)宇宙に関する内容であったことや学校で使用できる機器には限りがあり、生徒たちが思いついた全てに応えることは難しいと感じていました。そこで、私たち大学生から「生命科学」についての授業を提案してみようと考えました。

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生命科学ってなんだろう?

よく大学で何を勉強しているの?と聞かれた時に「生命科学」と答えると、「どんなことを勉強しているの?」と尋ねられることが多いです。しかし、新聞の広告や本のタイトルではよく「生命科学」の言葉を目にします。読者がわからないがつけたくなるタイトル、それは「生命科学」が新しく、期待されている分野だからなのではないか。では「生命科学」とは一体何かというと、詳しい定義はありません。東京薬科大学・生命科学部は、日本の大学で初めて創立された生命科学部です。そこで学ぶ私たちの経験から生命科学についてどんなことをやっているのか、何ができるのか、身近な話や実験ができる場をつくりたいと提案しました。

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連携授業を行うために。

「思いついたらすぐ行動に移すしかない」と思い、教育実習でお世話になった先生方に連携授業を提案したところ、1クラスあたり2時間という貴重な時間を設けて頂きました。ただ、実施が決まってからの準備は大変でした。どの部屋で授業を行うのか、どんな流れで進行するのか、実験を行うにあたって中学生の知識のバックグラウンドはどのくらいあるのか、試薬はどうするのか、協力してもらう大学生を探さなければならないなど、これまでに考えたことすらない課題が山積みでした。ただ、どんな課題であっても生徒が退屈せず、一人でも「へえ〜!なるほど!」と思ってもらえるようにイメージして授業案をまとめていきました。

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連携授業を行って得た刺激を大切に。

連携授業の当日は緊張もあり、あっという間に2時間の授業は終わりました。生徒が大学生と目を合わせて話している姿や血液型を判定していたり血液の凝集を顕微鏡で観察して「きもちわるいー」と言っている姿を見て、それだけで生徒たちに良い刺激を与えられたのではないかと感じました。しかし、実際に刺激を受けていたのは私自身でした。半年以上前にふと思いついた私の提案を面白いと乗ってくれた先生や友人がいなければ、このプロジェクトは成り立ちませんでした。私の周りにいる方々の行動力や柔軟さに感謝しています。そしてこのプロジェクトを通して私が気がついたことは、面白いと思ったことに対してどんどん挑戦していくことの大切さでした。今回の経験を生かし、今後もこのような中学生や高校生を対象とした活動を続けていきたいと考えています。2019年度の連携授業は1校だけでしたが、これから様々な学校で「生命科学」についての授業を大学院進学後も続けていく予定です。この活動に少しでも興味を持っていただけた方は、ぜひ一緒にチャレンジしてみませんか。

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