ニュース&トピックス 生命科学部1年生がPythonを用いたプログラミングに挑戦|データサイエンスプログラム
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2021.10.20
生命と情報は別の物のような印象を受けるので、生命科学部で情報科学を学ぶことは不思議に思えるかもしれません。しかし、両者はとても近い関係にあります。例えば、DNAは4種類の塩基だけで、複雑な生命情報を保存しています。これはビット(bit)と呼ばれる0と1の集合がプログラムを構成しているのととても似ています。一方で人工知能(AI)やロボットのように、あたかも生命と同じような機械の開発が進んでいます。このように生命を考えると情報の問題に、情報を考えると生命の問題に行き着きます。
そのため、生命科学部では情報科学教育に力を入れ、デジタル人材の育成を行なっています。その中でも「情報科学Ⅱ」はデータサイエンスプログラムのコア科目(選択科目)であり、学部1年生を対象とした対面授業として後期に開講しています。1学年234名の内、103名がこの科目を履修しており、学生たちのプログラミングに関する興味・関心の高さがうかがえます。この授業では、以下のような内容に取り組んでいます。

- 1. コマンドによるコンピュータの操作
- コンピュータは画面をマウスでクリックするなどして操作するようなイメージがあると思います。しかし、それはコンピュータの機能の一部に過ぎません。実はコンピュータはコマンド(文字による命令)だけでファイルやその中身を操作することができます。このような操作方法をUnixと呼ばれるOSを利用して学習します。
- 2. Pythonのプログラミングを通じたアルゴリズムの理解
- アルゴリズムとは「計算のやり方・順番」を意味します。これをコンピュータが理解できるプログラミング言語で書くことをプログラミングと言います。アルゴリズムの考え方、考えたアルゴリズムをプログラムに翻訳するスキルをPythonと呼ばれるプログラミング言語を用いて培います。
- 3. 基本的な機械学習の実装
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Pythonは機械学習やAIが簡便に利用できるため、様々な分野で大変注目を集めているプログラミング言語です。分かりやすく説明すると、機械学習とは大量のデータからパターンを読み取るアルゴリズムで、これらは統計学に基づいています。このアルゴリズムに従ってプログラミングを行うことで、機械学習は使えるだけではなく、その理論についても理解することを目指します。

ほとんどの学生にとって、コマンドによるコンピュータの操作やプログラミングは本授業で初めて学ぶ内容ですので、最初はとても苦戦しています。しかし、複数名の教員やTeaching Assistant(大学院生)が操作をサポートしたり、学生同士で教え合ったりすることで、理解を深めています。授業が進むにつれ、「できることが増えていき成長ができた」と自信を付けていく学生が増えてきました。また、自身が悩み何度も何度も失敗を繰り返しながら作り上げたプログラムが動いたときの達成感は一入です。

本学生命科学部はその創立時初期から情報科学教育の特色として、一人ひとりが自分のノートパソコン(Mac)を所有し、設定や環境構築を自分で行い、課題に取り組んでいます。これはコンピュータという各自が自由にできる空間が存在することが主体性を高め、研究活動を有益であると考えているからです。また、データ分析や研究に限らず世界中で利用されているUnix系OSのコマンドによる操作体系を学ぶことで、幅広い分野で活躍してほしいと願っています。本講義は本学の他の情報系講義ともリンクしており、データサイエンスプログラム全体を通じてデジタル人材としての基盤を養成しています。

参加した学生のコメント
- 分子生命科学科 1年 伊佐 龍馬
- この「情報科学Ⅱ」では、コンピュータが処理した結果の途中式を考えることが大変です。Enterキーを押した後の返答はどのような処理が行われているのか、友達と同じ結果が画面上に映し出されていてもコマンドの処理工程が全く違うかもしれない。このような結果ではなく処理に至った思考回路の理解に苦労しました。しかし、他人のソースコードを模写するなどしてアルゴリズムを理解することで対処しています。教授やTeaching Assistant(大学院生)の方々が丁寧にサポートをしてくれるので、あまり心配なく授業に臨めています。何度も繰り返し作業したり、理解するのが難しいものもありますが、論理的思考力や情報活用能力を身に着けるためにコツコツと努力を積み重ねています。

データサイエンスプログラム|生命科学部
- ビッグデータを創造の力にする
- ITインフラの整備、機械学習やAI技術の進展に伴い、データを扱える人材が求められています。このプログラムでは、「応用基礎」レベルの知識・技術を習得するとともに、生命科学に特化したゲノムメタゲノム情報の利用や医療ビッグデータを活用できる人材の養成を目指します。
- 目指す学修成果
- 情報収集・分析力/数理能力・IT力/論理的思考力/課題発見・解決力

本件に関するお問い合わせ
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