ニュース&トピックス 応用生態学研究室の「絶滅危惧II類のタマノカンアオイの光合成の季節変動」に関する論文がAnnals of Botany誌に掲載されました

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2023.03.27

東京薬科大学キャンパス内に広がる落葉樹林の林床では、夏は薄暗く、冬から初春まで明るい季節変化があり、林床の草本植物種はそのような環境に適応しています。多摩地方の固有種であり絶滅危惧II類のタマノカンアオイ(Asarum tamaense)は、このような環境で葉を約1年保持します。これまで1年の間に光強度や温度が大きく季節変動する環境で、タマノカンアオイがどのように環境に適応しているのかわかっていませんでした。本研究では、タマノカンアオイの葉の光合成系は薄暗い夏に抑制され、冬季の低温・強光というストレス環境下で促進されることが分かりました。この光合成系の促進は、光合成関連酵素の量的増加によるものではなく、これらの活性化や電子伝達系の律速解除によるものであることが示唆されました。また、冬季に光合成系を保護するような色素が誘導されることも明らかになりました。

写真1:林床の春と夏

春v2.jpg

写真2:タマノカンアオイ

タマノカンアオイ.jpg

論文情報

タイトル“Dynamic seasonal changes in photosynthesis systems in leaves of Asarum tamaense, and evergreen understorey herbaceous species“

Doi: https://doi.org/10.1093/aob/mcac156

著者: Naoki Wada, Issei Kondo, Ryouichi Tanaka, Junko Kishimoto, Atsuko Miyagi, Maki Kawai-Yamada, Yusuke Mizokami, Ko Noguchi

掲載誌Annals of Botany, 2022

https://academic.oup.com/aob/advance-article/doi/10.1093/aob/mcac156/6964902

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東京薬科大学 生命科学事務課