ニュース&トピックス レポート|生命科学部 再生医科学研究室の山口教授に臓器創出にかける思いを伺いました

  • 生命科学部
  • 生命医科学科
  • 教育活動
  • 研究活動

2024.03.21

―再生医学について教えてください。

再生というのは文字通り失ったものを再びよみがえらせることで、医学的に言うと、病気や事故などで失った細胞や組織を再び作り、治療や創薬研究に応用することを研究する学問です。近年、生物学研究の発展が目覚ましく、動物がどのように発生するのか、iPS細胞などの幹細胞がどのような性質をもっているのかなどの基礎研究が世界中で盛んに行われ、多くの知見が蓄積されました。再生医学とはこれらの基礎研究で得られた知見を応用して、これまで治療が困難だった病気に対して全く新しい革新的な治療法を確立するための学問です。

山口先生_035 3-2 900.jpg

―山口先生と再生医学との出会いについて教えてください。

私の父は、私が中学生の頃に肝硬変という重症の肝疾患であることが分かり長い間闘病しました。病気の原因も分からず治療法もない病気だったので日々状態が悪くなる一方でした。父の苦しむ姿をみて、科学者になって医師でも治すことのできない病気を治す薬を創りたいと思いました。大学は薬学部に進学し薬の勉強をしました。そしてもっと医学を学びたいと思い、医学系の大学院に進学しました。大学院、アメリカ留学ではウイルス学を研究しました。帰国後、大学院時代の恩師に臓器再生研究のアイデアを聞き、是非チャレンジしたいと思い今の研究をスタートしました。今は、「臓器」という薬を創ることを目標に研究をしています。

―現在の研究と研究室名に込めた思いを教えてください。

臓器移植でしか助かる方法のない重症の臓器不全の患者は世界中にたくさんいますが、臓器移植のドナーは非常に少ないので、ごく一部の患者しか移植の恩恵を得ることができません。臓器移植を待つ間に症状が悪化し、亡くなってしまう患者も少なくありません。このような臓器移植を待つ多くの患者を救うために、iPS細胞から臓器を作る方法を開発する研究を行っています。長年培われてきた基礎医学の知識と最新のバイオテクノロジーを融合した革新的な研究を目指して「再生医科学」と命名しました。

AdobeStock_549776720 3-2 900.jpg

―今後の抱負を教えてください。

iPS細胞は体中のどの組織にもなれる万能細胞です。実際に様々な細胞に分化誘導し、移植治療に用いられ、その安全性と有効性が確認されています。しかし、ヒトiPS細胞から「臓器」をつくることにはまだ誰も成功していません。臓器移植を待つ多くの患者を救うために、様々なテクノロジーと斬新なアイデアで「究極の再生医療」をできる限り早く実現したいと思います。

―受験生へのメッセージをお願いします。

臓器創出を成し遂げるには、常識にとらわれない柔軟な発想、奇想天外な発想が必要だと思います。医学研究に関する既成概念がない皆さんならこのような発想ができると思います。是非一緒に研究して臓器創出を成し遂げ、世界を救うスーパーヒーローになりましょう。

P1003209 3-2 900.jpg

本件に関するお問い合わせ

東京薬科大学 広報課