楢木 侑子

株式会社嵯峨野 学術企画部

城西大学附属城西高等学校 出身
薬学部 医療衛生薬学科 卒業

“医療・医薬品”の情報を世の中の人々に正しく伝えることが私の仕事です

研究室での経験から学んだ「物事をわかりやすくまとめる力」と「何事にも疑問を持つ習慣」

薬剤師として働く母の姿に憧れて、薬学部へ進学したいと思っていました。東薬は、卒業された先輩方が多く様々な分野で活躍しているので、卒業後のことを考えたときに心強いと思い志望しました。また、高校の先生が東薬を強く薦めていたことも進学理由のひとつです。

大学では薬学に関する幅広い知識を学びました。特に3年次科目の【薬物送達学】で、「皮膚から吸収された薬が血液を循環して全身作用を示すことや、標的部位に有効成分を送達させるための製剤があること」を知った時は、とても驚き興味を惹かれるとともに、薬の奥深さを感じました。このことがきっかけで、4年次からの研究室配属も【薬物送達学教室】を選択。遺伝子デリバリーシステムの開発、筋ジストロフィー治療のためのキャリア開発を研究しました。

研究室では、研究成果や英語論文をまとめて、教授や研究室メンバーに報告・発表する機会がありました。
どんな目的をもって、どのような方法で研究を行ったか。それによってどのような結果が得られたか。どのようなことが考察されるか、展望を期待できるのか。それらの事柄を、他の人にも理解できるよう分かりやすくまとめる能力が育ちます。

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研究成果発表の際、研究室ではひとつのルールがありました。それは「聞き手は発表内容に対して1問以上の質問をする」というものです。質問をするためには、発表の内容に興味関心を持つことが不可欠です。多くのことに興味関心のアンテナを張って疑問を持つ習慣ができました。これは研究に限らず仕事をするうえでもとても重要なことだと感じます。
また一方で、質問をすることは「自分に不足している知識を埋め、さらに深掘りすること」や、「疑問を解くことで自分の考えをアップデートすること」でもあると思います。

前述の研究室での活動で獲得した「物事をわかりやすくまとめる力」は、周囲に対するプレゼンテーションや説得コミュニケーションにも役に立つ能力です。また「何事にも疑問を持つ習慣」から、社会人となった現在も、自己成長を続けることができていると感じています。

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進路を決める大きなファクターとなった東薬のキャリアサポート

大学の低学年時は明確な進路希望持っておらず、当初は現在自分が勤めているような、医療用医薬品の広告代理店の学術職という仕事があることも知りませんでした。

進路を定める契機になったのは、大学5年次のこと。
就活を始めるにあたり、どのような職種があるのかを調べるため、東薬のキャリアセンターの主催するインターンシップ説明会に参加しました。
多くの業界や企業が参加する中で、医療系広告代理店として株式会社嵯峨野も出展しており、話を聞いた中で最も興味をもったため、こちらの企業の【学内認定インターンシップ】に参加しました。

インターンシップでは、学生4名で協力して疾患啓発資材を作成しました。この経験を通じて、「話し合いをすることでより良いものができる」「頭の中で考えたことが目に見える形になる」ことに面白さとやりがいを感じたことを覚えています。

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その後、他の企業・業界のインターンシップや説明会にも参加しましたが、結果として医療系広告代理店の学術職が最も自分に合っていると感じ、この道に進みたいという決意が固まりました。その後さらに調べていくうちに、嵯峨野には東薬出身の先輩がいることが分かり、その先輩に話を聞くこともできました。様々な分野で活躍されている先輩方がいらっしゃるという、東薬ならではの強みを実感したエピソードであり、東薬に入学してよかったと思いました。

情報を通じて医療のニーズを満たすという使命を持って

5年次の実務実習(病院実習)中、指導薬剤師の方が入院中の患者さんに対し、冊子を用いて病気や治療・薬の説明をしていました。分かりやすい冊子を用いることで、薬剤師は説明がしやすく、また患者さんも不安を軽減でき、双方の信頼関係が築かれていく現場を目の当たりにしました。この経験から、患者さんだけでなく医療に関わる全ての人が適切な情報を必要としていると感じました。

現在、私は製薬企業と協力して、適切な情報提供のための資材を作成しています。資材とは、患者指導箋、疾患治療の解説冊子、疾患啓発サイト、製品情報概要、適正使用ガイドなどのことです。これらは患者さんだけでなく、医療関係者の方々にも薬の適切な情報を届けるための大切なツールです。これまで一般向け、医療関係者向け、製薬企業向けと幅広く多くの資材を担当してきました。普段はパソコンで原稿を作る比較的地味な仕事ですが、自分が作った資材が形となり、誰かのためになると思うと達成感を感じます。時間をかけて作り上げた資材が実際に使われる場面を見たことがあり、人の役立っているのを実感した貴重な経験でした。

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実は先日、東薬で取材させていただく機会がありました。薬学部の先生が達成された、研究のための大学公認クラウドファンディングについて、先生から直接お話を伺いました。このクラウドファンディングへの弊社のサポートに対して、先生から御礼のお言葉をいただくことができ、嬉しかったです。私たちの仕事がこのクラウドファンディング達成に貢献できたのだとすれば、またこの達成によって今後人々の健康に少しでも貢献できれば、大変嬉しく思います。

これからも、資材の作成を通じて患者さんや医療関係者に適切な情報を提供することで、双方のニーズを満たし、医療のサポートをしていきたいと思っています。

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先輩からのメッセージ

この仕事は必ずしも薬剤師の免許を必要とはしません。しかし、医療用医薬品の広告代理店という性質上、特に学術職となると、薬学の知識は必ず役に立ちます。また、大学で学んだことを活かしつつ、多くのことに挑戦できる仕事でもあります。多くのことに興味を持ち、好奇心を持って働きたい方にとっては、これほどやりがいと魅力のある業界はないのではないでしょうか。興味を持たれた方は、ぜひご自身で調べたり、大学のキャリアサポートを活用してみたりすることをオススメします。

また、大学の学部選びに迷っている受験生の方へ。
大学に入学した後、目標ができたときに実現できそうな場所であるかを考えてみるとよいかもしれません。

東薬は私立の薬科大学の中で最も長い歴史があり、多くの先輩方が幅広い分野で活躍されています。前述の通り、私は卒業後社会に出たときに同じ大学の先輩方がいることは心強いと考え、入学しました。そして、学内認定インターンシップで現在の勤務先を知りました。あまり知られていない広告業界を知ることができたのは、長い歴史の中で東薬と社会との密接なつながりがあるからだと思います。
現在の仕事は薬剤師の免許が必須ではなく、研究室の教授に相談するときに少し不安な部分もありましたが、「面白そうな仕事で、楢木さんにあっていそうだね。」と言ってくれました。私が研究室での発表資料をまとめるのが好きであることを知ってくださっていて、背中を押してくれたのだと思います。

東薬は社会に出たときに多くの先輩方がいる心強さがあり、学生の意見を尊重してくれる先生方がいます。そのおかげで、私は入学時には予想もしなかった職種で充実した仕事ができています。

私にとって東京薬科大学は

P1666065(1)_900x600.jpg将来の選択肢を広げてくれた場所