笠井 清花

薬学部 医療薬学科 6年(取材当時)

山梨県立甲府昭和高等学校 出身

脱髄から起こる末梢神経障害疾患の治療法発見をめざして|在学生の研究

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薬学部6年 機能形態学教室所属

笠井 清花 さん
(取材当時)

脱髄による末梢神経障害疾患の治療につなげたいという目標をもって

卒業研究のテーマは、「マウス坐骨神経リゾレシチン脱髄部に集積するCD68陽性細胞に関わるグロベニン®の効果の検討」です。

脱髄とは、神経線維を覆う髄鞘(ミエリン)という物質が何らかの原因で変性・脱落することです。このミエリンは、絶縁体の役割(電気線の絶縁体、ビニールテープのようなもの)を果たしていて、神経の電気信号が身体の他の部分へ伝わる速度を速めます。脱髄によりミエリンが失われると、この電気信号の伝わり方が遅くなったり、遮断されたりして、多くの神経症状をきたします。

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この脱髄が末梢神経で生じる疾患として、ギラン・バレー症候群や慢性脱髄性多発神経炎が有名です。これらの疾患では、四肢の筋力低下や脱力などの症状がみられます。こうした症状の治療法として、「免疫グロブリン大量静注療法」というものがあります。この治療法には、静注用ヒトIgG製剤(健康なヒトの血液から抗体を抽出・精製して作る薬)であるグロベニン®が用いられ、治療効果が認められています。ですが実は、このグロベニン®の作用機序は、いまだ明らかではないのです。私は、この未知の作用機序に着目しました。

これまでの当研究室の研究で、末梢神経を局所的に脱髄させた実験系モデルマウスにグロベニン®を投与すると脱髄が抑制されることが示されており、さらに、脱髄した領域に、マクロファージの貪食(体内の細胞が不必要なものを取り込み、消化し、分解する作用)が活性化していることを示す「CD68陽性細胞」が集まっているのが明らかとなっています。
そこで、私の研究では、脱髄領域に集積するCD68陽性細胞の表現型を調べ、グロベニン®投与による影響を明らかにすることを目的として実験を行いました。

作用機序を明らかにすることで、患者さんに負担の少ない安全な治療の可能性を生み出したい

実験手法は免疫染色という方法を用いました。脱髄部に集積しているCD68陽性細胞は、90%がマクロファージ、少数シュワン細胞があるということが分かりました。
グロベニン®の効果の検討としては、グロベニン®投与分のマウスと生理食塩水投与分のマウスとを比較して調査をしましたが、これについては有意な差がないことが分かりました。

以上のような実験を続けた卒業研究では、新たな治療法の可能性を探るために日々実験に取り組んでいました。この研究は後輩に引継ぎ、さらなる成果を出してもらいたいと同時に、いつかこの研究結果が脱髄によって引き起こされる様々な疾患に対する治療に役立つことを期待しています。

いつかこの作用機序が明らかになることで、新たな視点に立って、より患者さんに負担の少ない安全な治療が行えるようになることを願っています。

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東薬での成長

中学生の頃、祖母が認知症を患い、自分で管理できないほどの大量の薬を飲んでいる事に当時衝撃を受けました。本当にあの薬が全て必要なものなのか、あんなに飲んでいるのに祖母の認知症は悪くなっていくのはなぜか、そもそもあの小さな薬が体の中でどう作用するのか興味を持ち、薬について学ぶことのできる薬学部を志望しました。

東薬には指定校制で入学。学園祭で訪れた際に、自然豊かで開放的な環境に魅かれ、ここで6年間学んでいく自分の姿をイメージできたことが大きかったです。また、他の大学と比べて、東京薬科大学は薬学部の人数が多く、共に学び高め合える仲間がそれだけ多くいるという環境が非常に魅力的だと思いました。

医薬品の体内動態やヒトの体の機能形態に興味をもっていたため、東薬では、それらについて学びたいと思っておりました。実際に入学し、研究室に所属してから、この想いを叶えられるとても充実した生活を送ることができました。

私はドラッグストアの薬剤師として就職が内定していますが、東京薬科大学での学ぶ中で、私の興味や関心を深め、将来の自分をイメージすることができました。これからは東薬で学んだ広い知識や実務経験を通じて、薬剤師として患者さんに貢献することを目指しています。

東京薬科大学での学びや研究は、私の成長にとって大きな意味を持っています。

後輩へのメッセージ「自分が後悔しないと思える道を選んでほしい」

これから、患者さんに寄り添い、信頼される薬剤師を目指したいと思います。薬剤師としての専門性を活かして、地域医療への貢献をすることが目標です。

大学選びでは、長い将来のことを考えて自分が後悔しないと思える道を選ぶことが大切だと思います。

私自身、薬学部でよかったのか?と今でも考えることがあります。しかし、もし薬学部に入学していなかったら絶対に一生後悔していたと思うので、この選択で間違いなかったと思っています。

挑戦する気持ちがあれば何にでもなれると思うので、皆さんも少しでも興味のある分野は徹底的に調べて、広い視野を持って行動してみてください。

P1600170_900x600.JPG「私の将来の目標は」