アイディアを形にして市場に届ける研究開発職
コンセプトをレシピ化して製品へ
私は研究開発職として、主力商品である冷凍餃子の開発・改良に携わっています。具体的には、マーケティング部で考案されたコンセプトを私たちの商品開発部でレシピ化し、試作(調理)を重ねて美味しさや工場での生産が可能か評価し、レシピを完成させています。原材料にはそれぞれ「具をまとめる」「焼き色をつける」などの役割があるため、ベストの配分を考えるため複雑な足し引きが必要です。また、冷凍食品は半期に1度リニューアルするため、常にスピード感を持って製品の品質向上に取り組んでいます。私が感じている研究開発職の魅力は、担当している製品が店頭に並び、家族や友人、知らない人にまで食べていただけることです。そして、自分が考えたレシピの設計やアイディアを工場やマーケティング部など他部署の方と連携しながら形にしていく過程にも一体感とやりがいを感じています。
恩師の熊澤先生と出会えた学生時代
高校生の頃から興味があった生物についてより深く学びたいと考え、全国で最初に開設された東薬の生命科学部を選びました。東薬は、100年以上の歴史がある薬学部もあり、カリキュラムが整っていると考えたからです。実際に、授業、実習、そして研究室まで選択肢が豊富で、興味のある分野を積極的に学べる環境でした。卒論の研究室に食品科学研究室を志望したのは、大好きな「食」を追求できる食品メーカーの研究開発職を目指したからです。指導教授の熊澤義之教授は食品メーカーの研究所出身だったので、食品業界のこと、研究開発職の仕事についても詳しく教えていただきました。現在の試作品の評価に、大学の実習や研究室で使用した機械操作の経験が役立つ時があります。また、常に2~4製品の開発に携わっているため、同時並行で複数の試作を効率よく進めたり発想力が求められるときに、研究室での実験経験が活きていることを感じています。
目指すのは「王道」、そして「誰もが安心して食べられる餃子」
すでにブランドが確立した冷凍餃子で私が新たに目指すのは、2種類の餃子です。1つは、買い求めやすく王道のおいしさをさらに追求した餃子です。もう1つは、食物アレルギーがある方も安心して食べられるおいしい餃子です。食物アレルギーに配慮した商品もすでに販売されていますが、アレルギー物質を全く使っていない餃子はまだありません。実現には、美味しさを維持しながら原材料を置き換える難しさと工場での生産ラインの検討が必要です。しかし、食物アレルギーの有無にかかわらず、子供から大人まで家族みんなで同じ餃子を囲んで、「おいしい!」と喜んでもらえるような製品をいつか必ず開発したいと考えています。今はまだ、知識も技術も成長途中ですが、ジョブローテーションで複数の部署の仕事を経験して視野を広げ、考え方や知識を増やしてより良い商品をお客様に届けたいと考えています。
高校生へのメッセージ
高校生の頃に将来どうなりたいのかを決めることは難しいかもしれませんが、将来について考える良い期間でもあると思います。東薬の生命科学部は、授業、実習、そして研究室も生物系、食品系、医療系など様々な分野があり、自分の興味を追求できる環境が整っていました。就職先も食品系、製薬系、化学系、IT系など将来の選択肢も多いことが魅力だと思います。進路に迷っている方は、将来の選択肢が多い大学を選ぶとよいかもしれません。応援しています。