清水 勇希

生命科学研究科 博士前期課程 1年(取材当時)

環境因子が健康に与える影響を明らかにし、人類の健康に貢献|在学生の研究

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大学院 生命科学研究科博士前期課程(修士)1年 細胞情報科学研究室所属

清水 勇希 さん (取材当時)

環境因子と健康の因果関係を明らかにする研究

環境因子と健康の因果関係を明らかにする「エクスポソーム研究」を行っています。

「エクスポソーム」とは「ヒトが生涯曝露する環境因子の総体」として定義されています。また、細胞情報科学研究室では「エピジェネティクス」というDNA塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現の差異を生み出す仕組みに着目しています。

この仕組みはヒストンというタンパク質が受ける化学修飾によって調節されています。この化学修飾は生体内に存在する代謝物によって起こりますが、我々は環境由来の外来性の化学物質もヒストンに結合するのではないかと考えました。実際に複数の環境化学物質がヒストンに結合し、遺伝子発現の差異を引き起こすこと明らかにしました。

日本にはエクスポソームを専門に研究している研究者があまりおらず、「まだ明らかになっていないのなら、自分の手を動かして明らかにしてやろう」という思いで研究しています。近年の研究では、がんなどの疾患は環境因子による影響が高いと考えられています。そこで、現在の研究を通して全世界の人類の健康に貢献したいと強く思っています。

研究成果が「健康の未来予測」や「疾患の予防」につながることへの期待

私は3年次に「生命科学特別演習」という授業を履修し、細胞情報科学研究室に通っていました。もともとはがんの研究がしたかったのですが、研究テーマの立ち上げでき、新しい戦略で研究を推進することに惹かれ、エクスポソーム研究を選択ました。前述のように、いくつかの疾患は環境因子による影響が高いと考えられています。この研究によって、健康の未来予測や疾患の予防につながると期待しています。

幅広い視野を持った研究者へ

高校生の時に「がん」という疾患について学びました。長い間研究がされているはずなのに、人類が苦戦している疾患だと感じました。また、当時は健康に生きたいという思いが強かったため、生命科学系の大学に進学したいと考えていました。

研究室に所属し研究活動を行う中で、現在の研究テーマで3回の学会発表を行うことができました。研究の立ち上げということもあり、条件検討など地道な実験をたくさん行ったことが結果に結びついたと思います。例えば、実験が仮説通りにうまくいかなかった場合、ダメだったと考えるのではなく、この無限大にある方法の中で、この方法ではうまくいかないという一つの結果が得られたと考えることができるようになりました。

人生では自分が思った通りにならないことの繰り返しですが、そこで落胆するのではなく、他にもっと良い方法があるんだという幅広い視野を持った研究者になりたいと思うようになりました。

後輩へのメッセージ「楽しく、多くのことを学べる研究をしよう!」

東京薬科大学の生命科学部は、医学・薬学・工学・理学・農学といった幅広い分野の学びを通じて生命科学を学ぶことができ、研究設備がかなり整っていて、日本でもトップレベルの研究ができる学部だと思います。また、先生方との距離が近いため、わからないことがあったら質問しやすいところが良い点だなとも思います。
私たちと一緒に、楽しく、多くのことを学べる研究をしましょう︕
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