ニュース&トピックス 「東薬が挑むプラネタリーヘルス」― 全学SD講演会を開催 ―

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2026.01.29

2026年1月6日、八王子キャンパスにて、全学スタッフ・ディベロップメント(SD)講演会「東薬が挑むプラネタリーヘルス:薬学・生命科学の知を結集し、未来の健康な地球社会へ」を開催しました。当日は、東京大学・五十嵐圭日子教授をお招きし、「東京大学が目指すプラネタリーヘルス 〜学術と実社会とをつなぐ協創のあり方〜」と題して特別講演をお願いしました。

東京薬科大学は、自らのブランディングを進めるなかで、高度大学院教育(博士人材育成)と3つの研究拠点(医療・創薬・地球環境)を “東薬のブランド” と認識し、さらに学生も教職員も、全ての構成員がプラネタリーヘルスの理念を共有し、実践することを目指しています。

プラネタリーヘルスは、人間の健康と地球の健康が相互に依存しているという認識を持ち、人間の政治、経済、社会のあり方を見つめ直し、地球システム全体のウェルビーイングを目指す考えです[東京大学プラネタリーヘルス研究機構]。

このスケールの大きな概念を、本学にどう取り込み、どう取り組むか? 未来への持続可能な地球社会に暮らす⽣活者として「⼈と地球の健康価値を創造する⼤学」を目指し、教職員全員で考える機会としました。そして、人の健康と地球環境が互いに依存していることを身近に感じ、“Think globally, act locally” を実践するために、東京郊外の拠点形成を想い描いて『八王子プラネタリーヘルス』への取り組みを提案しました。

会場には、八王子市から初宿市長と植原副市長をお招きし、特別講演に参加していただきました。

八王子市長・初宿和夫様よりご挨拶を賜りました

八王子市は、豊かな自然と都会が共生する歴史あるまち「桑都」として知られ、全国有数の学園都市でもあります。東京にあっても自然を感じられる心地よい暮らしを背景に、ごみの少ない自治体3年連続全国1位、リサイクル率も全国2位と環境保全に係る優れた実績を残しています。医療機関や大学との連携協力にも積極的に取り組んでおり、東薬が挑むプラネタリーヘルスが、地域特性を活かしながら市民や地元、八王子の持続可能な発展に資するものとなるよう期待します。

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【特別講演】
「東京大学が目指すプラネタリーヘルス ~学術と実社会とをつなぐ協創のあり方~」
 東京大学プラネタリーヘルス研究機構・五十嵐圭日子 機構長

 プラネタリーヘルスの観点から、地球環境の逼迫した厳しい現状と将来予測、そしてそれに対する政治・経済・社会的対応の国内外における動向について説明があり、さらに問題解決に向けた新たな取り組みが、東京大学の場合を例に挙げて紹介されました。

 化石燃料に依存する経済活動は、大気中CO2濃度上昇を背景に気候変動を引き起こし、生物多様性の損失など地球環境を悪化させます。その結果、自然災害や感染症リスク、食料問題など、人々の健康と生活を直接的に危うくし、その影響は世界各所で深刻さを増しています。しかし、「経済成長と環境保全のトレードオフ」を打開しようとする政策は、国や地域で相違があり、地球レベルの対応は憂慮すべき状況に留まっています。

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 そこで、生物圏に負荷をかけない経済活動(バイオエコノミー)が提唱され、その実現に向けた戦略や3R(Reduce, Reuse, Recycle)+ Renewableに基づく各国様々な実証実験が進められています。東京大学では、2025年1月にプラネタリーヘルス研究機構(RIPH)を設立すると共に、同年10月に東京大学ゲートウェイキャンパスを東京都港区・高輪ゲートウェイシティ内に設立しました。多様な研究機関・参画企業をも巻き込んだ実証的な研究開発を行い、人・街・地球のすべてがバランスよく健康に保たれるプラネタリーヘルスの創出を目指します。そのためには、学問分野を横断的に結びつける学際的な取り組みが不可欠です。東薬においても薬学・生命科学の知を結集し、ともに未来の健康な地球社会の基盤を築きましょう。

 

講演後の会話のなかで、プラネタリーヘルスに取り組む意義について「私たちが研究や仕事をする意味は、どこをどう通っても “プラネタリーヘルス” に行き着くと思っている。学問領域が違うから出来ないというのは言い訳にならない」と語られた五十嵐先生のお言葉が印象的でした。

豊かな自然に囲まれた八王子にキャンパスを構える本学薬学部・生命科学部が、医療/医科学、創薬を追求し、未来の地球環境を見据えてプラネタリーヘルスを推進することは、創立150周年の節目を迎える東京薬科大学がこの先も時代に貢献する大学として在り続けるために自ずと辿り着く、自然な流れのように思えました。東京薬科大学は未来社会のウェルビーイングに視点を据えて「人と地球の健康価値を創造する大学」を目指します。

主催:SD委員会           
共催:プラネタリーヘルス研究コア