内田 百香

薬学部 2年(取材当時)

山梨県立韮崎高等学校

中南先生のような研究者を目指し、「病原性の高いMRSAに対する入浴剤の効果」を研究|私の学修成果/在学生の研究

私がこれまでに得てきたもの

  • 微生物研究への知識
  • 研究を通じた先輩・先生との絆
  • バイオセーフティーに対する心構え
  • 医療倫理観

「薬を守ることは、人の命を守ることに繋がります」という言葉に感銘を受けて

私は、大学を選ぶポイントとして、大学でできる研究内容をとても重視していました。
高校1年生の時から所属していたSSH(スーパーサイエンスハイスクール)で微生物に対する抗菌作用について研究し、その理解のために菌や微生物に関する多くの本を読みました。その際に、高校の大先輩でもあり、ノーベル賞を受賞した大村智先生の著書を読み、菌や微生物の働きといったものに興味を持つようになりました。薬の持つ効果や、新薬の開発を通じて多くの人を救えるという点に魅力を感じ、医療や薬学の道を志すようになりました。その後、2年生になってコロナ禍となった際、自分の進路を見つめ直し、「薬学を学べる大学に行こう!そして、できることなら微生物を詳しく学べて研究できる大学を探そう!」と決意しました。このことが、私の大学選びのポイントの理由です。

この軸で大学を調べる際に、各大学のHPだけでなく、専門誌や大学刊行の冊子なども読んでいました。その際、東薬が刊行している『CERT』という冊子を読み、臨床微生物学教室の中南先生の研究内容を知りました。臨床微生物学教室は、【MRSA】と呼ばれる、抗菌薬が効かない(薬剤耐性)黄色ブドウ球菌について最前線の研究を行っています。そこに書かれていた「薬を守ることは、人の命を守ることに繋がります。今後も薬剤耐性菌の研究を通して抗菌薬の適正使用を推進し薬を守っていきたいですね。」という言葉に感銘を受け、「先生のもとで薬剤耐性菌の研究に従事したい」「感染症や微生物の研究に携わり、薬と人の命を守りたい」と強く思いました。

東京薬科大学の面倒見の良さから、私の夢だった研究活動が始まりました

大学に入学したら、ぜひ中南先生(臨床微生物学教室)のもとで研究をしたいと考えていました。とはいえ、1年生から研究室にいく学生はほとんどいません。入学当初は、私も気後れしていました。しかし、研究をしたいという想いが強くあり、アドバイザーである今田先生に相談しました。すると、その先生から中南先生をご紹介いただき、臨床微生物学教室で実験をやらせてもらえることになりました。先生方の温かいご対応にとても感激しました。こうして、1年次の中盤から、私の夢だった研究生活が始まったのです。

研究室では、最初はPCRや電気泳動など先輩方のお手伝い中心でしたが、現在は有難いことに研究テーマを持たせていただき、研究に従事しています。また、研究室では感染症の病原体を取り扱うため、事前にバイオセーフティに関する講習も受けさせていただきました。


研究室には4年次から6年次、大学院の先輩方が所属しています。先輩方が皆さんとてもやさしく、分からないことをやさしく教えてくれるだけでなく、楽しいお話をしてくれます。正直なところ、1年次は必修科目がたくさんあり、授業や実習がすべて終わってからの研究室での活動は大変なのではないかと思っていました。しかし、実際に研究室にお世話になってからは、そこでの活動が本当に楽しくて、むしろ毎日早く行きたいなと思っています。

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東薬の先生方や先輩方の支えやご指導によって、私の夢だった研究活動が始まり、毎日充実した日々を送ることができています。東薬の面倒見の良さ、温かさ、そういったものに、本当に感謝しています。

私の研究テーマ「病原性の高いMRSAに対する各種入浴剤の増殖阻害効果」

前述の抗菌薬が効かない(薬剤耐性)黄色ブドウ球菌【MRSA】は、薬剤耐性菌の中で最も重要視されています。臨床微生物学教室では、日本全国の医療機関と連携し、感染症患者の臨床検体を収集し、分離されたMRSAを解析しています。最近、MRSAの中でも特に病原性が高いものが急増していることがわかりました。このMRSAは、家庭や部活内で集団感染を起こしたり、完治したと思っても何度も再発します。これを防ぐためには、抗菌薬による治療だけでなく、各自の感染対策が必要で、抗菌作用のある入浴剤を入れたお風呂に浸かることなどが有効と言われています。

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そこで私は、大学院生や先輩方のご指導の下、「病原性の高いMRSAに対する各種入浴剤の増殖阻害効果」について研究しています。 本研究は、様々な入浴剤を研究対象として、MRSAの増殖阻害効果を明らかにすることを目的としています。 現時点では、入浴剤によって効果に違いがあることが分かってきています。 今後の研究では、さらに一歩進んで、皮膚の常在菌には影響が少なく、MRSAやヒトに悪影響を及ぼす菌の増殖を優先的に阻害する入浴剤を見つけたいと思っています。

また、研究を通じて、微生物の解析や実験を行う際の手技、病原体を取り扱う知識が身に付きました。研究で用いた細菌は病原性を持っているので、バイオセーフティ(バイオハザード対策)を常に意識して実験を行う、バイオ実験従事者としての心構えも得られたと思います。今後も講義と実習の合間に研究を続けて、MRSAの感染症に効果的な対策を見つけて、その感染拡大を防ぐことに貢献したいです。
 
東薬では、たとえ1年生であっても、自分の想いを実現させてくれるチャンスをもらえます。そういったところも、東薬の良さだと感じています。

私たちの健康を支えてくれる命の尊さや、医療従事者として不可欠なものを気付かせてくれる東薬の実習

また、将来研究を発展させていくためにも、普段の授業や実習をおろそかにはできません。学習面ではどの科目にもまんべんなく取り組み、基礎固めがしっかりできるように心がけています。

大学に入学し1年半、多くの授業や実習を経験してきました。微生物学などの学修にはもちろん力が入りますが、特に印象に残っているのは基礎生物学実習。この実習から、『私たちが当たり前に享受している健康は決して当たり前のものではない。私たちの健康の足元を支える医療の発展は、多くの小さな命の上に成り立っている』ということを「自分事」として理解できました。これは将来私たちが医療従事者として働く際に、必ず持っていなくてはいけない思いだと思います。

研究に魅かれて東薬に入学した私ですが、このような実習を受けることができるという点でも、東薬を選んでよかったと感じています。

将来の夢は「中南先生のような研究者になること」

上述のように、日々充実した研究活動を行いながら、普段の学習面ではどの科目にもまんべんなく取り組み、基礎固めがしっかりできるように心がけています。4年次の研究室配属の際に、必ず臨床微生物学教室に行けるよう、日々勉学に勤しんでいきたいと思います。

私はまだ2年生ですが、将来は中南先生のような人を育て慕われる研究者になり、そして研究を続けていきたいと思っています。そのためには、いままでもこれからも、しっかり授業や実習に集中し、薬学に関する幅広い分野の知識を身に着けて、薬学部で過ごす時間を有意義に過ごしたいと思います。

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東薬で成し遂げたいことは

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