キャンパス・学生生活 世界を舞台に社会問題の解決をする新しいバクテリアの作成を目指して―iGEM TOYAKU

―iGEM TOYAKUについて教えてください。

iGEM TOYAKUは、2021年の学内アイデアコンテスト「生命科学フォーラム」において優勝したことで結成された、東京薬科大学のiGEM チームです。

iGEMは合成生物学の国際大会のことであり、別名「生物版ロボコン」とも呼ばれています。世界的な問題を解決することができるユニークなアイデアで、iGEM に出場することを目指しています。

P1699423_900x600.JPG代表 鈴木 涼太 さん
(生命科学部2年・取材当時)

―活動内容を教えてください。

現在私たちは「ゴジラバクテリア」というものを作成する「ゴジラバクテリアプロジェクト」を立ち上げ、研究を行っています。「ゴジラバクテリア」とは、放射線を吸収してエネルギーとして利用しながら増殖するバクテリアで、これにより地球の放射能汚染問題の解決に挑戦したいと思っています。ネーミングは、放射線を吸収して成長する、日本の特撮怪獣映画から生まれたゴジラから得ました。

P1000914(1)_900x600.jpgサマー・サイエンス・プログラム in TOYAKU

現在、「Dry班」「Wet班」「HP班」「渉外」の4班に分かれて活動を行っています。

  • 「Dry班」…デザインした微生物を実際に運用する場合の数理モデリング
  • 「Wet班」…研究室にて実験を行い、微生物を作成
  • 「HP班」…Human Practiceの略称で、合成生物学やiGEMに関する幅広い教育活動。多くの専門家に意見を聞き、その都度プロジェクトの修正を検討
  • 「渉外」…iGEMに出場するための資金を集めるため、さまざまな企業にコンタクトする

具体的な活動については各班それぞれの担当業務ごとに進めていますが、毎週火曜日の18時から全体ミーティングを開き、各班の進捗情報を共有しています。

また毎週土曜日には任意参加でWikiClubを行なっています。Wikiとは世界中のiGEMチームがiGEM出場にあたって作成する、自分たちの研究テーマについて方法や結果をまとめたWebページのことです。WikiClubでは担当者が当日までに他チームのWikiを読み、研究内容と実験結果をまとめて発表します。発表後は質疑応答の時間として、みんなで実験手法や結果について考察したりディスカッションを行なったりしています。

―今後の目標を教えてください。

私たちiGEM TOYAKUは、2024年に行われる国際大会iGEMに出場し、Gold Medalを獲得することを目標としています。

―これまでの活動実績を教えてください。

  • 2021年9月 第3回生命科学フォーラム優勝/サークルを結成
  • 2021年12月 メンバーのアイデアの中からテーマを「ゴジラバクテリアプロジェクト」に設定
  • 2022年11月 サイエンスアゴラ2022(研究者と市民の交流の場)に出展
  • 2022年8月 サマーサイエンスプログラム in TOYAKUをオンライン開催
  • 2023年5月 八王子学生天国に出展
  • 2023年8月 サマーサイエンスプログラム in TOYAKU実地開催
  • 2023年9月 福島県を訪問し、被災地の現状を見学/第5回生命科学フォーラム優勝

2022年11月にはテレコムセンタービルにて開催されたサイエンスアゴラ2022に出展しました。サイエンスアゴラとは研究者と市民をつなぐ開かれた交流の場のことです。私たちのテーマである「ゴジラバクテリアプロジェクト」と合成生物学について多様な分野の専門家と意見交換を行うことができ、さらにアイデアを深め視野を広げられました。

2023年8月に実地開催した高校生を対象とした体験実習イベント「サマーサイエンスプログラム in TOYAKU」では「日焼けのメカニズムをしろう!」というキャッチフレーズのもと、日焼けの原因となる紫外線の働きから、日焼け対策として用いられる化粧品の作用まで学びました。昨年度のサマーサイエンスプログラムは新型コロナウイルスの影響により対面での実施ができず、私たちが対面での実験イベントを1から作成するのは、今回が初めてでした。実際に行った実験についても、企画から3ヶ月ほど試行錯誤し、完成しました。当日は実習室探検、クイズ、考察タイムなど、実験以外にも様々な企画を用意しました。サマーサイエンスプログラムは参加者の方も一緒になってみんなで作り上げた最高のイベントになりました。

来年度もiGEM出場を目指して多方面に活動していきます。

―iGEM TOYAKUへの参加に条件などはありますか?

特に条件はありません。iGEMの活動は基本的にProblem Based Learningであり、遺伝子工学的な実験にとどまらず、外部との交流やイベント作成など多岐にわたることから、研究の経験や生物の知識の有無に関わらず、全員に活躍する機会があります。また、高校で生物を履修していないメンバーも自ら学んだり、互いに教え合ったりすることで日々理解を深めています。こうしたことから、知識の有無よりも、ここから一緒に学んでやるのだという飽くなき探究心を持っている人を歓迎します。

―iGEM TOYAKUのアピールポイントを教えてください。

iGEM TOYAKUは学術系団体のなかでも大会を目指すサークルであり、自分からアクティブに活動する人が多いのが特徴です。また、大学内の人だけでなく、同じiGEMに出場することを目標とした他大学の人や、自分たちのプロジェクトと関わりのある外部の人々など、様々な人と関わることが多いです。数理モデリング、研究、イベント企画、広報活動、助成金応募などの資金調達活動、他大学のiGEMチームとの連携や交流など幅広く活動しているため、それぞれの興味や強みを活かすことができます。自分の好奇心を大切にすることができ、挑戦することに前向きなメンバーが揃っているので、学年を問わず切磋琢磨することができると感じています。一方で一緒に昼食をとったりレクリエーションを行ったりするなど、先輩後輩関係なく仲の良い雰囲気も私たちのアピールポイントです。年関係なく協力してこれからの iGEM TOYAKU の歴史を一緒に作り上げていきたいと思っていますので、興味のある方はぜひ体験に来てほしいです。

igem1_900x600.jpg2023年5月に出展した八王子学生天国の様子

―ありがとうございました。