キャンパス・学生生活 研究の楽しさを知り、将来の夢へ繋げる―生化学研究部

―生化学研究部について教えてください。

生化学研究部は「実習を通じて研究スキルや研究計画力を身に着けること」を目標に活動する学術部門の団体です。また「部員全員で協力してひとつのテーマを研究して解明することで、研究の楽しさを知り、将来の夢へつなげること」を目指しています。特に生化学的な検査技術を身に付けられることや、病気の研究を行えることが強みです。東薬の中でも歴史があり、特に理系らしい部活動を行う団体と言えるでしょう。

P1699261(1)_900x600.jpg部長 野添 由佳 さん
(薬学部2年・取材当時)

―活動内容を教えてください。

メインとなる活動は、春休みと夏休みに生化学的な実習を行います。実習内容は部員全員で話し合って決めています。実習内容によっても異なりますが、実習期間は10:00~16:00まで、おおよそ1週間続けて行います。これに向けて解剖練習や実験のデモンストレーションを行います。

前回行った実習のテーマは、「怪しいダイエットサプリは本当に効果があるのか?」でした。近年、多様なダイエットサプリが販売されており、中には効果が懐疑的なものもあります。そこで、Wistarラットに糖を摂取させ、糖代謝と脂質量に及ぼす影響およびサプリメント投与によるコントロール効果について実験しました。

299653(2).jpg

この実習の内容は次の通りです。

  • 今回は第二類医薬品として糖解錠と、怪しいダイエットサプリとして、医薬部外品である市販のダイエットサプリを用いました。1群を正常食コントロール、2群をショ糖食コントロール、3群をショ糖食+糖解錠、4群をショ糖食+ダイエットサプリとしました。
  • 糖解錠を使用した3群は1群と比べて血糖値上昇が穏やかになりました。また、ダイエットサプリを使用した4群も、1群と比べて血糖値上昇が穏やかになりました。このことから、糖解錠やダイエットサプリには血糖値上昇を抑える効果があることが分かりました。加えて、薬の種類の違いによる血糖値上昇の勾配では、明らかな差がみられませんでした。このことから、2週間では第二類医薬品と医薬部外品の効果の違いがみられないことが分かりました。
  • 4群は残した餌の量が最多でした。これは経口投与によるストレスや、ダイエットサプリに食欲を低下させる効果があるのだと考えられます。一方で餌を残さなかった1群と2群のうち、実習開始1週間後、2群の方が1群よりも大幅に体重の増加が見られました。これは同じ餌の量でも、ラットの餌ではなく、半分砂糖を入れることにより、食後の血糖値が急激に上昇することで、インスリンが過剰に分泌され、体に脂肪を溜めやすくなったためだと考えられます。

この実習結果ならびに考察過程を経て、将来研究室に所属した際、あるいは研究者として社会に出た際に有用となるスキルや考察能力を身に着けることができました。

また今回は、これらの結果と考察をもとに、新たに2型糖尿病に関する内容の実習を計画しています。これまでの反省を生かして、どうすれば薬の効果を最大限に発揮することができるのか、投与方法や投与量、回数などを考えたり、実習によって得られた結果をどんな試薬や機器を使って評価していこうか考えました。2週間という貴重な限られた期間ですが、今後も部の実験活動を通じて、少しでも前回の自分たちから成長できるように部員同士で協力し、知恵を出し合って実習を進めていくことができたらうれしいです。

―生化学研究部の目標を教えてください。

これまでのお話の通り、私たちは「実習を通じて研究スキルや研究計画力を身に着けること」「部員全員で協力してひとつのテーマを研究して解明することで、研究の楽しさを知り、将来の夢へ繋げること」を目標にしています。具体的な目標としては、大学の学術部門合同で行われる学術大会という大会で優勝することです。

生化学研究部という名前からして「難しいことをやっている」というイメージがあるかもしれませんが、入部当初はみんなが初めて行うことをやるので、知識の有無はまったく問題になりません。部員同士で協力し、お互いに教え合いながら実験を進めていけますので、安心して遊びに来ていただければと思います。

意欲がある方、探求心のある方、将来研究者になりたい、そんな方にとって生化学研究部はとても楽しい経験ができるところだと思います。ぜひ私たちとともに研究の楽しさを感じてほしいですね。

seiken1_900x600.jpg

―ありがとうございました。