DXで学びに革新を #01

ヘルスケア・データサイエンス人材の育成

  • 薬学部
  • 人工知能 AI
  • ビッグデータ

薬学部 医療薬学科
一般用医薬品学教室 陳 惠一 教授

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  • 社会変化と医療DX
  • Pythonを用いたAI技術
  • 患者一人ひとりに最適な医療を

社会変化と医療DX(デジタル変革)の必要性

日本は少子高齢化が進み、医療の質を維持しながら国民が負担する医療費を抑えることが求められています。そうした中、政府はデジタル庁を創設し、医療DX(デジタル変革)を進めようとしています。実際、医療現場では、AI技術を用いた画像診断が開始しています。また、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病では、患者自身が、スマホアプリを用いて、睡眠、食事、歩数などの生活習慣を管理する試みが医学的に注目されています。さらに、病院や薬局での様々なデータ(ビッグデータ、リアル・ワールド・データとも呼ばれています)を、AIを用いて解析し、医療の最適化を目指しています。 一方、そうしたデジタル医療の専門家である「ヘルスケア・データサイエンティスト人材」については、Amazonなどは「日本では2025年までに追加で2,950万人のデジタルワーカーが必要となる」と予想していますが、日本ではまだ十分に足りていない状況にあります。そこで、2020年、本学で「ヘルスケア・データサイエンティスト人材育成事業」を開始することとなりました。

edudx_03-2.jpg陳 惠一 教授

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本学のヘルスケア・データサイエンティスト人材育成

ヘルスケア・データサイエンスで重要なのは、医療データを解析するだけではありません。医療データの解析では、国民の大切な個人情報を扱うことになりますので、個人情報保護法という法律に則って、個人情報やプライバシーを尊重し進めることが大事になります。またビッグデータの解析ではPythonと呼ばれるプログラムを用いたAI技術の習得が必要になります。 そこで、本学でのヘルスケア・データサイエンス人材育成講義では、①倫理規範・個人情報保護法に則って②研究デザインや医療統計を理解し③ビッグデータ解析手法を用いて④ヘルスケア領域の問題解決に貢献する人材の育成を目指しました。 本学での最初の講義は、2021年2月に2週間、本学学生と社会人を対象に、オンライン講義形式(Zoom)で開催されました。学外の専門家にも講義頂き、企業でのビッグデータ利活用状況、個人情報保護法とデータ加工法、医療統計(概念)、PythonとAIなど、広範囲の内容を盛り込んで、行いました。短期間での講義でしたので受講生は大変だったと思いますが、9割以上の受講生が、講義に満足、今後も継続して勉強していきたい、という結果となりました。2021年度からは、選択科目として「ヘルスケア・データサイエンス」が開始しています。

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デジタルxヒト

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今後、薬剤師やヘルスケア人材の役割はどうなるのでしょうか。医療のデジタル化が進むと、逆に、アナログ的な部分が重要になると予想されています。例えば、スマホアプリを用いた患者参加型医療では、スマホアプリの導入や使用説明が、特に高齢者で、重要になります。実際、医療従事者のサポートがあった場合、患者による生活習慣病自己管理継続率は顕著に(有意に)高くなるという結果が報告されています。また、ビッグデータ解析が進むと、高血圧症、糖尿病などの生活習慣病などにおいて、患者個々の状況に応じた医療の遂行(個別化医療)が可能になり、医療従事者の役割はより大きくなることが予想されます。本学では、このようなAI技術を用いて患者一人ひとりに最適な医療を提供するために必要な「ヘルスケア・データサイエンティスト人材」の育成を目指しています。