DXで学びに革新を
デジタル型シミュレーション人形を活用した実践的薬剤師教育の取り組みについて
学びを変える“教育DX”
コロナ禍を経験し、社会・経済が“アナログ”から“デジタル”を活用する時代へと変革しています。デジタルを活用するDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進展し、大学教育においてもDXを活用した質的転換が劇的に進んでいます。何を学び、身に付けることができたのか、個人の学修成果が問われる時代に変化しています。また、医療の分野においてもその技術力の進展は著しく、デジタルを活用できる能力は医療人として必須のスキルとなりつつあります。東京薬科大学では、AI(人工知能)やVR(仮想現実)をはじめ、データサイエンスなど教育DXを活用した教育改革や学修成果の可視化に取り組み、学修者本位の教育への転換を目指します。
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人工知能 AI
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データサイエンス
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VR 仮想現実
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リモート/オンライン
教育DXを活用した学びを紹介
ヘルスケア・データサイエンス人材の育成
- 薬学部
- データサイエンス
- 人工知能 AI
薬学部 陳 惠一 教授
日本は少子高齢化が進み、医療の質を維持しながら国民が負担する医療費を抑えることが求められています。そうした中、政府はデジタル庁を創設し、医療DX(デジタル変革)を進めようとしています。実際、医療現場では、AI技術を用いた画像診断が開始しています。また、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病では、患者自身が、スマホアプリを用いて、睡眠、食事、歩数などの生活習慣を管理する試みが医学的に注目されています。さらに、病院や薬局での様々なデータ(ビッグデータ、リアル・ワールド・データとも呼ばれています)を、AIを用いて解析し、医療の最適化を目指しています。 一方、そうしたデジタル医療の専門家である「ヘルスケア・データサイエンティスト人材」については、日本ではまだ十分に足りていない状況にあります。そこで、2020年より本学で「ヘルスケア・データサイエンティスト人材育成事業」を開始しました。
学修者本位の教育実現に向けた基盤整備 ~AI 活用に向けて~
- 薬学部
- 人工知能 AI
- ビッグデータ
薬学部 黒田 明平 教授
「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」(中央教育審議会)では、「学修者本位の教育への転換」が基軸となっており、その背景には IoT や AI 等の技術革新の普及が挙げられます。AI を活用した学修者本位の教育実現に向けた基盤整備を目的とし、学生ごとのデータ(入学前、学修、進路等)を集積し、統合・整理しています。具体的には、出身高校と成績、入試形態と得点率、入学前教育(指定校、AO、一般公募入学生を対象)への取り組み状況、1~6年次のGPA、4・6年次の総括的試験(卒業試験含む)と模擬試験の得点率、就職活動と進路データを学生ごとにまとめています。各学生を「点」ではなく、入学から卒業・進路までの「線」で捉えることで、見えてくることが必ずあると思います。薬学部の教育DX化、さらにはAI導入に備え、可能な限り多くのデータを統合・整理し、シームレスなデータ解析をするとともに、機械学習用のデータを集積していきます。
VRで臨場感溢れる実務実習体験を
- 薬学部
- VR 仮想現実
- 在宅医療
薬学部 別生 伸太郎 准教授
医療の分野では、臨場感溢れる教育を提供するため、Virtual Reality(VR)技術を活用した手術手技や看護技術の習得、救命救急対応などに関する教育コンテンツの開発が進んでいます。薬学教育においても新型コロナ拡大に伴い、遠隔授業によって知識レベルの学習に留まらず技術・態度面に関する教育にも一部有効であることも分かり、そのニーズは高まりつつあります。そこで本プロジェクトでは、VRによるオンデマンド型の教育コンテンツ提供に留まらず、360°の視野を遠隔かつリアルタイムで多数の学習者と共有できるシステムの構築を目指します。臨床現場に勤務する薬剤師の視点を、場所を問わず学習者が共有できれば、ポストコロナ時代の新たな臨床教育手段の一つになることが期待されます。
AIで薬剤師の業務をもっとクリエイティブに
- 薬学部
- 人工知能 AI
- 対人業務
薬学部 堀 祐輔 教授
近年、薬剤師業務の中心が「対物業務」から「対人業務」に移行してきており、各患者の求めに応じたケアが重要となって来ています。これまで時間の掛かっていた、監査、調剤、服薬指導業務などへのAI技術の導入により、正確で的確な服薬指導が可能となると考えられます。AIを活用することで、各医師の処方方針や処方量を学習させ、過去の疑義照会の内容を効率的に提供させることで、不要な疑義照会を減らすと同時に精度の高い処方提案が可能になると考えられます。その結果、新人薬剤師や、異動などにより勤務地が変わった薬剤師でも、正確な判断が素早くできることになり、最終的には薬局における患者の待ち時間短縮にも繋がると考えられ、今後はAI技術の活用が進むと考えられます。
アクティブラーナーを育成するリモート教育支援プログラム
- 生命科学部
- リモート
- 双方向
生命科学部 渡邉 一哉 教授
コロナ禍の影響で、リモート教育システムに注目が集まっています。リモート講義では、学生が自宅から参加できるなどのメリットがある一方、講義に臨場感がなくなり、学生のモチベーションが低下することが懸念されています。そこで本プログラムでは、より臨場感があり、学生がアクティブに参加できるリモート講義の確立を目指し、教育支援システムの構築を行いました。具体的には、記入型講義資料の事前配布、インタラクティブホワイトボード(IWB:Zoomなどのリモートシステムを通して、教員が話す様子と教員の板書が画面から見えるデバイス)の利用、講義中に課題を解く時間の設定、講義後にIWBの板書を配布、などから構成される講義システムを確立しました。講義に積極的に参加する学生(アクティブラーナー)をより多く育成することを目指し、リモート教育支援プログラムの普及を行っていきます。
オンライン教育による技能・態度の学習効果を検証する
- 薬学部
- オンライン
- 学修成果
薬学部 成井 浩二 准教授
新型コロナ防止の観点から、複数人数が1か所に集まって行われる講義や、対面および接触を伴う実習・演習は行うことができません。本学の2020年度前期すべての講義・実習・演習は資料・動画の提供やZoomによる講義などによるオンラインで行われました。通信教育や予備校などにおいて、オンライン教育による知識の養成はこれまでにも行われ、一定の効果が得られていると考えられます。しかし、オンライン教育による技能・態度の育成効果は定かではありません。本学部のような医療人(薬剤師)を養成する学部では、技能・態度の育成が社会的にも求められます。そこで、オンライン教育においても社会に信頼される薬剤師になるための技能・態度の育成を行うための内容を検証しました。
本件に関するお問い合わせ
- 東京薬科大学 入試・広報センター
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