DXで学びに革新を #06

オンライン教育による技能・態度の学習効果を検証する

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薬学部 医療薬学科
一般用医薬品学教室 成井 浩二 准教授

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  • With/Afterコロナの医療人育成
  • 教育方法もデジタルに変革
  • 学びの成果を可視化

オンライン教育によって技能・態度は育成できるのか?

新型コロナウイルス感染防止の観点から、複数人数が1か所に集まって行われる講義や、対面および接触を伴う実習・演習は行うことができません。本学の2020年度前期すべての講義・実習・演習は資料・動画の提供やZoomによる講義などによるオンラインで行われました(2020年度後期からは対面とオンラインによるハイフレックス型となっています)。通信教育や予備校などにおいて、オンライン教育による知識の養成はこれまでにも行われ、一定の効果が得られていると考えられます。しかし、オンライン教育による技能・態度の育成効果は定かではありません。本学部のような医療人(薬剤師)を養成する学部では、技能・態度の育成が社会的にも求められます。そこで、オンライン教育においても社会に信頼される薬剤師になるための技能・態度の育成を行うための内容を検証しました。

edudx_02-2.jpg成井 浩二 准教授

成果に表れる、オンラインの学び

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薬学部4年生に対し、「OTC医薬品の販売対応」の実習をZoomを用い、オンラインで実施しました。教員が演じる段階的に良例になる3症例の動画視聴やロールプレイを行い、Zoom投票およびアンケートを用いて学習効果を評価しました。「自分でも顧客に対し適切な対応ができると思う」と回答した割合が21%から79%に大幅に上昇し、複数症例動画の閲覧・解説およびロールプレイによって、オンライン教育においても技能・態度の習得が可能であることが示唆されました。
薬学部1年生に対し、「介助(車いす)」の演習をZoomを用い、オンラインで実施しました。教員作成の車いす介助説明動画、および車いす利用者作成の動画の視聴、Zoomブレイクアウトルームでのグループワークを実施し、評価しました。80%以上の学生が車いすの基本的知識や介助対応注意点について習得したと回答しました。また、車いす利用者作成の動画の視聴とグループワークへの積極的な参加によって「優しい気持ちで接するよう努めたい」という受容と共感的な態度の回答が高くなることが示され、オンライン教育においても技能・態度の習得が可能であることが示唆されました。

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「新しい生活様式」に即した学習環境整備を目指す

今回のオンラインによる教育は新型コロナウイルス感染防止の観点から実施されましたが、感染の終息に伴い、オンラインによる教育は不要になってゆくのでしょうか?国はテレワークなど「新しい生活様式」に即した取り組みを促しており、医療現場においてもオンライン診療・オンライン調剤などの新しい医療が開始しています。オンライン教育は、今後、そうしたWith/Afterコロナ時代に対応できる医療人を育成する上で必須な教育手段であると考えられます。本学はこれまでの対面教育とオンライン教育の併用によって、“新しい生活様式”に即した学習環境を整備してきました。時代の変化をいち早く察知し、さらに教育の質向上を目指してまいります。

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