DXで学びに革新を #03

VRで臨場感溢れる能動的学習を目指す

  • 薬学部
  • VR 仮想現実
  • 在宅医療

薬学部 医療薬学科
薬学実務実習教育センター 別生 伸太郎 講師

edudx_06-1.jpg
  • VRで臨場感溢れる疑似体験
  • スマホでも手軽にVR映像を視聴
  • 在宅医療教育の先進モデルへ

360°映像で臨場感溢れる疑似体験を

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、多くの大学でオンラインによる遠隔教育が実施されるようになりました。本学でも、動画配信やビデオ会議システムを用いた遠隔教育を行い、知識レベルの学習に留まらず技術・態度面に関する教育にも一定の効果があることを実証してきました。その一方で、モニター画面を介しての学習では臨場感がなく、調剤手技やコミュニケーションといった薬剤師として必要な技能を育む対面学習を完全に代替するものにはならないことも分かってきました。近年、医療系分野ではVirtual Reality(VR)技術を活用した手術手技や看護技術の習得、救命救急対応などに関する教育コンテンツの開発が進み、オンライン学習における「臨場感」という問題点を解決できる可能性が示されています。しかし、残念ながら薬学教育に関するコンテンツは十分とは言えない状況です。そこで本プロジェクトでは、VRによるオンデマンド型薬学教育コンテンツの開発を目指すと共に、360°の視野を遠隔かつリアルタイムで多数の学習者と共有できる新たな教育システムの構築を目指します。臨床現場に勤務する薬剤師の視点を、場所を問わず学習者が共有できれば、ポストコロナ時代の新たな臨床教育手段の一つになることが期待されます。

edudx_06-2.jpg別生 伸太郎 講師

スマホの手軽さが学生の能動的学習を支える

VRを活用した教育では、いかに現実世界と同じ様な体験を学習者に提供するかというところに力点が置かれがちですが、それではデータ量の肥大化と高性能なVRヘッドセットが必要となり、我々が目指す「いつでも・誰でも・手軽に」という教育に対するコンセプトを満たすことが出来ませんでした。総務省の統計によれば、20代のスマートフォン個人保有率は94.5%に達しており、この事は普段学生達と接していても実感することです。そこで、本プロジェクトが目指す教育コンテンツは、学生個人のスマートフォンでも視聴できるように開発を行っています。VRによる教育が身近になることで、単に対面授業の代替ではなく、今まで以上に臨床的な学習機会と主体的な学びを学生達に提供出来るものと確信しています。

edudx_06-13-1.jpg全天球カメラを使用したVR撮影

edudx_06-11.jpgVR映像の動画編集

edudx_06-12.jpgサンプル映像

edudx_06-16.jpgスマホで使えるVRヘッドセット

姉妹校・東京医大と連携。さらに他職種連携教育のヒントに

VR教育システムの構築には、医療機関の協力が欠かせません。本プロジェクトでは、姉妹校である東京医科大学 救急・災害医学分野の織田順主任教授(現 兼任教授)や、同病院の竹内裕紀薬剤部長の協力を得て開発を行っています。東京医科大学とはその他にも、多職種連携教育などの教育連携が取られていますが、両学間の立地やカリキュラムのすり合わせ等の問題から、限られた範囲での開講に留まっています。将来的にはVRシステムを活用した遠隔型の多職種連携教育実施を計画しており、両学間の立地問題が解消される事から更なる多職種連携教育の推進が期待されます。学生に多職種連携教育の機会を今まで以上に提供する事は、本学が目指す「医療チームの一員として役割を果たす人材の輩出」に大きく貢献できるものと考えます。

edudx_06-7.jpg東京医科大学のVR実習を視察

ライブストリーミング配信を実現し、在宅医療教育の先進モデルへ

将来的には、ライブストリーミングによる臨床現場との双方向通信を模索していきます。バーチャル実務実習という表現が一番想像頂きやすいかと思います。VR映像のリアルタイム配信を医療施設との間で構築する事が出来れば、学内に居ながら一斉に実務実習を疑似体験する機会を学生達に提供する事が可能となります。このバーチャル実務実習の取り組みは低学年からの継続的な臨床教育を可能とし、更なる医療薬学教育推進に寄与できるものと考えます。

edudx_06-14-1.jpg